ネパール評論

ネパール研究会

京都の米軍基地(51):関所の監視カメラ

京丹後市の出入口=関所の一つに,監視カメラらしきものが設置されている。監視カメラ(スパイ盗撮カメラ)には詳しくないので,ひょっとすると違うかもしれないが,少なくとも外見からは監視カメラのように見える。

140709a 140709b ■設置監視カメラ/カメラ部分

1.監視の可能性の不気味さ
カメラ付近には,説明も標識も何もない。設置主体,設置目的不明。どこかにあるかもしれないが,ガードレールを乗り越え敷地内に入ると,侵入者とされ,頭上のカメラでバッチリ撮られ,逮捕されてしまうだろう。盗撮カメラを盗撮して逮捕されては,号泣兵庫県議以上にみっともない。

設置場所は峠なので,降雨・積雪監視用かもしてないが,そうしたことは,たいした問題ではない。設置目的が何であれ,盗撮された映像は,イザというとき,動かぬ証拠として何にでも利用できる。事実,おびただしい監視映像が,そのように利用され始めている。

この峠の監視カメラは,電話線で通信網に接続されているようだ(赤線表示)。つまり,誰かが,どこかで,ここを通るすべての人々の映像を見ている,監視=盗み見している,ということ。あるいは,いまはそうではなくても,そうしようと思えば,いつでもそうできる状態にあるということ。

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 ■通信網接続の監視カメラ

2.自衛隊の活発化
そして,さらに注目すべきは,先にも指摘したように,この地域では自衛隊の活動が活発化している。監視カメラを盗撮していたときも,自衛隊ジープが数台通過した。関連事業用のダンプも急増した。

140709d ■監視カメラ下通過の自衛隊ジープ

3.撮ると撃たれる恐れ:米軍
そして,忘れてならないのが,これからは自衛隊だけでなく米軍の車両も通行するということ。これは,恐ろしい。

日本は,国民も自衛隊も平和ボケ。国民は何にでも平気でカメラを向ける。自衛隊だって,格好の被写体にすぎない。事実,私も自衛隊ジープを激写したわけだ。自衛隊も自衛隊で,若い女性がカメラを向けたら,ピースサインさえしかねない。実戦経験ゼロ,緊張感なし。

ところが,米軍(や他の軍隊)はそうではない。カメラを向けようものなら,「撃たれる!」と判断し,反射的に撃ちかねない。キャノンは銃(キャノン)であり,撮る(シュート)は撃つ(シュート)。これは世界の常識だ。

Xバンドレーダー基地(米軍専用施設区域)付近は,特に危険だ。そのことは毎日放送(TBS)「見えない基地~京丹後・米軍レーダー計画を追う」(2014年1月19日放送)のなかの車力米軍基地レポートの部分を見れば,明らかだ。(参照:京都の米軍基地(31):MBS「見えない基地」再放送を米軍事会社 日本でも米レーダー警備、特権適用 青森・車力基地

基地外ではそれほどではないにせよ,不用意にカメラを向けると,連行されたり,すごまれたり,あるいは状況によっては撃たれてしまうかもしれない。それが,撃たれる前に撃たなければ生き残れない軍隊というものだ。実戦や訓練において,米軍の軍人や軍属(戦争引受会社被傭者)は,その戦場での生存術を身体化してしまっている。

米軍は見てはならないもの。見てはならないものを見るかもしれない住民は見張り監視すべきもの。見る-見られるのこの逆転こそが,Xバンドレーダー基地のブラックホール的恐ろしさだといってよいであろう。

【参照1】JR乗降客映像を無断流用 オムロンが「不審行動」解析(7月12日追加)
 電子機器大手オムロンが、JR東日本の4駅で撮影した乗降客の映像を、JR東に無断で別の研究に流用していたことが朝日新聞社の調べでわかった。不審行動を割り出すセンサー技術の研究に使い、総務省の外郭団体から約2億5千万円を受け取っていた。・・・・
 140712■オムロンの無断流用の流れ(朝日デジタル7月12日)

【参照2】撮影禁止:車力と経ヶ岬(7月15日追加)
京都平和委員会FBの写真によれば,車力では「当基地又はその活動を写真,図画,グラフ等に記録すること」が禁止されている。このうち,「活動(activities)」の部分はどうにでも解釈でき,特に危険。
 140715 ■車力米軍基地の警告(同FB写真の警告部分)
経ヶ岬米軍基地の場合,独立の「米軍専用施設区域」であり,車力以上に危険な治外法権のブラックホールとなりかねない。もしそうなれば,周辺のものは,吸い込まれ,呑み込まれて行くであろう。基地外からの望遠撮影はむろんのこと,たまたま写ってしまった場合であれ,米兵,あるいはもっと怖い軍属(戦争請負会社)警備員がすっ飛んでくるのではないか? グアムのように。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/07/09 @ 10:41