ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

176条まで採決,印米歓迎

制憲議会は9月15日,前日に引き続き一気に120カ条余を審議,第176条までを採決した。まさに「特急手続き」,この調子なら残り124カ条も1~2日で採決できそうだ。

むろん反対はある。サドバーバナ党マハト議長は,憲法案はマデシ,タルー,ダリット,先住諸民族の権利を無視しているとして,たとえ新憲法が制定されても,公布と同時にそれを焼き捨てる,と語った。

また,ナワルパラシでは15日,反政府デモ隊が手製爆弾,石,棒などで警察車両を攻撃し破壊した。これに対し警察が発砲したため,4歳男児が弾に当たり死亡,警官もふくめ十数名が負傷した。

しかし,こうした反対があるにもかかわらず,制憲手続きが「超特急」で進み始めたのは,おそらく国際社会,特に印米の圧力ないし助言ないし了解があったからであろう。

20日に新憲法が公布されたら,1週間以内に,新しい大統領,首相,議長が選出される。主要3党は,UMLのオリ議長を次の首相にすることで手打ちが出来ている。

そのオリ議長が,議長特使としてギャワリ書記を15~18日の予定でインドに送った。インド側に新憲法体制への移行を説明し,理解と支援を念押しするためにちがいない。

インドのスワラジ外相は,「ネパールのすべての地域,すべての社会の要望に応える憲法」を期待すると述べ,憲法制定過程の進捗を歓迎した。タルー指導者たちも,おそらくこうしたインドの反応を見て,政府との対話に前向きとなり始めた。新憲法成立を前提とした,条件闘争に入ったと見てよいだろぅ。

アメリカも,カービイ国務省報道官が「基本的諸権利を尊重する憲法」を期待すると述べ,憲法制定過程の進捗を歓迎した。

こうした状況を考え合わせると,憲法案の審議は17日(木)ないし18日(金)までに完了し,20日(日)には「2015年ネパール憲法」の公布となりそうだ。

150916

[参照]
*1 “Pradeep Gyawali off to New Delhi as UML Chair Oli’s special envoy,” Himalayan, September 15,2015
*2 “CA endorses 176 articles,” Nepali Times,September 15th,2015 
*3 “Minor killed as police open fire on protesters in Rupandehi,” Himalayan,September 15,2015
*4 “Agitation this time will be decisive: Mahato,” Kathmandu Post, Sep 15,2015
*5 “INDIA, US WELCOME PROGRESS MADE IN STATUTE MAKING PROCESS,” REPUBLICA, 15 Sep 2015

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/09/16 @ 12:16

カテゴリー: インド, 憲法

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