ネパール評論

ネパール研究会

対ネ非公式封鎖の公式解除,印政府

インド政府が10月3日,対ネ物流の非公式封鎖(ブロック)を公式に解除した。新憲法の改正(修正)が要求通り実現される見通しとなったためらしい。

インドの対ネ物流封鎖は,9月20日の2015年憲法公布とほぼ同時に始まった。しかし,印政府は,関与を繰り返し否定してきた。
 ▼V.スワラップ外務省報道官:「われわれの側からのブロックはない」。ネパール・タライの混乱の結果だ。(*5)
 ▼印高官筋:「インド側の封鎖はない,と明言してきた。しかし,国境の向こうのネパール側のことは,どうすることもできない。それが原因でトラックの通行が妨げられているのだ。」(*6)

このように,対ネ封鎖への不関与を印政府は明言してきたにもかかわらず,その解除になると,国連総会から帰国したモディ首相と打ち合わせたうえで,外務省を通して公式に通知している。
 ▼印外務省:スワラジ外相,R.シン内相らがウパダヤ駐印ネパール大使,SB.タパ産業供給相と協議。その席で,印外務省は,関係諸機関に対し10月3日からの封鎖解除を指示し,その結果,4日から正常化に向かうとネパール側に説明。(*2,5)
 ▼ラエ駐ネ大使:3日,コイララ首相と会談し,3日からいくつかの,4日からはすべてのチェックポイントで正常化すると伝えた。(*3,4)

非公式封鎖の公式解除――これは興味深い。いかにもインドらしい。

が,これで,マデシやタルーの要求する憲法改正が実現され,タライ諸党復帰の立法議会で新首相選出となるかどうか。もし満足させうるだけの改正ができなければ,インドが封鎖解除しても,マデシ強硬派は闘争を継続することになりそうである。

 151004■Sushma Swaraj, External Affairs Minister

*1 Prashant Jha,”India to restore partial supplies, Nepal calls it ‘good move’,” Hindustan Times,Oct 04, 2015
*2 Devendra Bhattarai,”India decides to lift restrictions,” Kathmandu Post, 04-10-2015
*3 PUSHPA RAJ ACHARYA, “Border points to open in a day or two,” The Himalayan Times,October 04, 2015
*4 “INDIAN ENVOY RAE ASSURES EASING SUPPLY OF ESSENTIALS INCLUDING FUEL,” REPUBLICA,03 Oct 2015
*5 “Blockade lifted,” Nepali Times,October 3rd, 2015
*6 SUHASINI HAIDAR,”Blame game on between India and Nepal as trucks pile up,” The Hindu, September 27, 2015

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/10/04 @ 21:49

カテゴリー: インド, 経済, 外交, 憲法, 民族

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