ネパール評論

ネパール研究会

壁画芸術: ラクスマン・シュレスタ

今回,カトマンズの街中で見た壁画のうち,最も洗練されていたのが,この作品。

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これは力作だなと思い,写真には撮ったが,だれが,いつ,何の目的で描いたのかは,その時はわからなかった。後でよく見ると,描いたのはラクスマン・シュレスタだということだけはわかった。ネット情報によると,彼の略歴は,以下の通り。

ラクスマン・シュレスタ(Laxman Shrestha)
・1939年,シラハ生まれ。インドのビハール州ダルバンガで育つ。絵が好きで絵画を学ぼうとしたが,両親は,絵を描くのは下層カーストの仕事だとして猛反対。そのため,家を出て絵画を学ぶ。
・パトナ大学卒業
・1957-62年,ムンバイのSir JJ School of Artで学ぶ。ゴッホに魅せられる。
・奨学金を得て仏英留学
1964-7 Ecole National Superieure des Beaux Arts,Paris; The Academie de la Grande Chaumiere, Paris
1970 Central School of Art & Craft, London
・ムンバイを本拠に制作活動。年数回ネパール訪問。日本を始め,世界各地で展覧会開催。「インドで最も高く評価されている画家のひとり。」
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ラクスマンは,ネパールのシラハ生まれだが,インドで育ち,本拠はムンバイ。「インドの画家」というべきかもしれないが,ネパールへの思いは強く,こんなことも語っている。

「私はネパールに来る必要があります。家族に会うためというより,わたしにはネパールの人々とふれあい,共に生きることが必要なのです。また私には,ヒマラヤを感じ取ることも必要です。私は,いつもヒマラヤを描き,これを通して,私が求め見つけたものを描こうとしています。」(Chirag Bangdel & Dinesh Rai,”The Master & His Landscapes: Laxman Shrestha,” Jul.14.2010, http://ecs.com.np/features/the-master-his-landscapes-laxman-shrestha)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/12/03 @ 17:57