ネパール評論

ネパール研究会

アルプスの花園を踏み歩く:オーストリア

オーストリアには,それほど高い山はない。グロースグロックナー3798mが最高峰で,富士山3776mとほぼ同じ。しかし,緯度が高いのと,氷河による氷食のため,気候はきびしく,地形は険しい。今回見てきたのは,ロープウェーや登山列車で山頂直下まで登れる2千メートル前後の山々。
 ▼パッチャーコーフェル 2247m
 ▼ゼーフェルダー・シュピツェ 2220m
 ▼ノルトケッテ 2334m
 ▼シャーフベルク 1783m

いずれも,それほど高くはないが,山容はゾォーとするほど峻険で,気候も厳しい。カメラ置忘れのため,間に合わせ写真にすぎないが,それでも垂直あるいはそれ以上に切り立つ山々の威容は,よく見て取れる。(4山の中で最もアルプスらしいノルトケッテも撮ったのだが,画面を触っていたら,全部消えてしまった。)

これらの山々には,中腹から山頂にかけて,高山植物が様々な花をつけ,一面に広がっている。まさにアルプスの花園。

驚いたのは,そのようなアルプスの花園と人々とのかかわり方。日本の山だと,高山植物保護のため,立ち入り禁止の札が立てられ,柵やロープが設置されている。また,そうでないところでも,登山道からそれること,高山植物を踏みつけることは,ご法度とされている。

ところが,今回のぼったアルプスの山々では,そのような立て札や柵やロープは一切なく,しかも登山者たちは,平気で高山の可憐な花々を踏みつけ歩き回ったり,パラグライダーを飛ばしたりしていた。

花々は,下界から山頂まで無数に咲いているし,2千メートルくらいだとヒツジやヤギがやってきて草を食べるから,地元の人々にとっては特別に保護すべきものではないのかもしれない。

いずれにせよ,アルプスの花園の中を無邪気に歩き回り寝そべる自由は,「立ち入り禁止」を内面化し縛られている日本人にとっては,うらやましい限りであった。

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 ■パッチャーコーフェル中腹

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 ■ゼーフェルダー・シュピツェ

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 ■花園からの飛翔(ゼーフェルダー・シュピツェ)

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 ■シャーフベルクの切り立つ岩壁

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2016/07/19 @ 00:51

カテゴリー: 自然, 旅行

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