ネパール評論

ネパール研究会

晩春の山村:大江山中腹

丹後の村に帰る途中,絶好の好天に誘われ,大江山(832m)越えの,これまで通ったことのない別の谷沿いの山道を車で登ってみた。

すでに4月21日,下界では桜はほぼ終わり,緑が濃くなり始めていた。ところが,大江山の谷へ東から少し入ると,そこはまだ春たけなわ,桜や野辺の花々が一面に咲き乱れ,まるで別天地!

大江山は,信州の山々のように高くも峻険でもないが,以前は曲がりくねった狭い山道しかなく,峠越えは至難の業だった。それでも,人々は沢沿いに山頂近くまで開墾し,平和に暮らしていた。

その大江山の生活インフラも,この数十年で見覚ましく改善された。特に目立つのが道路。いつも利用する国道176号線は,拡幅・直線化され,長いトンネルが開通し,谷をまたぐ立派な高架橋もかけられた。冬には,融雪・凍結防止の散水装置さえ作動する。建設費,維持費はいかほどかと心配しつつも,この高速道路並みの無料国道を便利に利用させていただいている。

今回入った別の谷の地方道は,この176号線とは比較にならないが,それでも拡幅され,車の通行には何の不便もなかった。

日本の道路は,この谷沿いだけでなく,どこでも,いまやたいてい舗装されている。こんな細い田んぼ道でも,こんな人里離れた山奥の小道でさえ,とビックリするほど舗装されつくしている。

道路だけではない。山腹の田畑も耕地整理され,格段に耕作しやすくなっている。大型農機を入れ,効率的に農作業ができる。

しかし,それにもかかわらず,この地方でも空家や廃屋が目に付く。道路や農地のインフラ整備だけでは,過疎化を押しとどめることは出来ないようだ。いったい,どうすればよいのだろうか?


■標識と白い花/野の花


■古民家と桜/廃屋と新緑の山


■耕地整理された田/防獣フェンスで囲われた畑と桜


■防獣フェンスと古民家/古民家と新緑の山

■花桃と舗装道路(上方176号線)
(注)田畑や住宅の庭などには,猪,鹿,猿,熊などの侵入を防ぐため,かなり頑丈な柵が張り巡らされている。費用がかさむが,それでも侵入は防止しきれない。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2019/05/25 @ 11:33

カテゴリー: 社会, 経済, 自然, 農業, 旅行

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