ガバナンス崩壊: ネパールと日本
ネパールのガバナンス(統治)はアナーキー状態。ここまで来ると喜劇的であり,諸外国もそれを想定して交際しているから,害も少ない。国連にUNMIN派遣を要請したくせに,役立たずだから帰れ,と要求する。あるいは,プラチャンダ議長は,「PLAはせいぜい数千人。UNMINには3万人と吹っ掛け,21,602人を認めさせた。どうだ,スゴイだろう」と暴露し,あっけらかんとしている。とんでもないことなのに,みな,そんなもんだよ,と認めている。ネパール人は,天性のネアカなのだ。
これに対し,日本のガバナンス崩壊はジメジメ惨め。10月29日,警察のマル秘テロ情報が大量にネットに流出したと思ったら,今度は4日,尖閣沖の中国船衝突事件の動画がネットに流出した。ガバナンスぼろぼろ。しかも,その対応が実に陰気。ネパール式,プラチャンダ流に,あっれ,出ちゃった,ゴメンネとやれば,楽しめるが,日本の関係者は沈痛そのもの,陰気くさくてたまらん。これでは,事態はますます悪化するばかりだ。
日本の没落については,すでに何回も指摘した。このガバナンス崩壊もその一つだが,ここでもう一つ注目すべきは,日本のHDI(人間開発指数)の下落――
▼HDI(2005年):日本=11位
ついに日本はここまで落ちぶれた。5年後の現在はもっと下落しているだろう。しかし,どうせ落ちるなら,楽しくやろう。情報じゃじゃ漏れ,日本に機密なし。大いに結構。HDI世界11位。それがどうした。清貧こそ日本の伝統だ。それがイヤなら,「長屋の花見」でも楽しもうではないか。
谷川昌幸(C)