ネパール評論

ネパール研究会

プラチャンダの平和,なるか?

マオイスト拡大中央委員会(Plenum)は,今日27日閉会する。プラチャンダ議長の最終運動提案はまだ公表されていないが,2011年5月28日までに「人民連邦民主共和国憲法」が制定できなければ,人民蜂起による権力奪取を目指すというものになるようだ。
マオバディ・プレナム

ネパールは,6月30日のマダブクマール・ネパール首相の辞任表明以来,暫定政府の統治を続け,首相選挙は16回に及んでいるが,憲法起草実務は着々と進んでおり,原則さえ決定すれば,それに応じた条文を備えた新憲法がただちに公布施行できるはずである。ネパールの法実務家の能力はたいしたものだ。

しかし,肝心の憲法の原理原則が定まらない。この調子で首相選出ができず,2011年1月15日UNMIN撤退となれば,バイダ副議長の人民蜂起の目が出てくる。プラチャンダ議長もその可能性を認め,保険を掛けているので,人民戦争再開となるかもしれない。

もし人民戦争再開となれば,今度は,インドがもっと本格的に介入し,それに対抗して中国も北方からの進出(侵出)を図るだろう。大変なことになる。

プラチャンダ議長は,「人民民主主義憲法」を要求している。十分に過激な主張であり,NCやUMLに呑めるとは思えない。インドも認めない。難しい事態になるかもしれない。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2010/11/27 @ 19:18