ネパール評論

ネパール研究会

首相官邸に棺桶,議会前に遺体:キリスト教会

ネパールのキリスト教会は,今年初め,パシュパティ地区開発基金(PADT)によりバンカリ森への埋葬を拒否されたため,政府に対し,バンカリ森への埋葬再開,または代替墓地の提供を要求してきた。しかし,これは微妙な問題であり,政府もうかつに動けず,政府決定は先延ばしにされてきた。

これに対し,キリスト教会は不満を募らせ,1か月前からラトナ公園でハンガーストライキを開始,国際世論にも訴え,政府に圧力をかけてきた。

しかし,それでもなお政府が動こうとしないので,キリスト教会は,26日までに何らかの政府決定がなければ,さらに闘争を強化すると宣言した。

「首相に棺桶を送りつける。首相との直談判,ほかのものではダメだ。」(キリスト教会憲法問題委員会GB・ガルトラジ書記長,ekantpur2011-04-25)

それでも墓地問題が解決されなければ,最後の手段として,制憲議会前にキリスト教徒の遺体を並べるという。

現在,墓地を失ったキリスト教徒は,やむなくカトマンズ盆地の外に遺体を運び出し埋葬している。事態は切迫している。

これは,何回か指摘したように,見方によれば共和制や連邦制よりもはるかに重大な問題だ。制憲議会(国際催事場)前にキリスト教徒の遺体が並べられ,腐敗し,白骨化していくようなことがあれば,国際的スキャンダル,憲法どころではない。そんなことにならないことを願っている。

[参照]
墓地問題でハンスト抗議
墓地紛争,ヒンドゥー惨敗か?
墓地紛争:キリスト教vsヒンドゥー教

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2011/04/26 @ 11:32

カテゴリー: 宗教, 憲法, 人権

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