ネパール評論

ネパール研究会

制憲議会3ヶ月延長,第9次改正成立

制憲議会(CA)が,第9次憲法改正により,3ヶ月延長された。制憲議会は28日任期満了。改正案成立は29日午前4時半過ぎ。厳密には時間切れだが,時効停止で延長は有効らしい。延長議会は合法性も正統性もかなり怪しい。

今回の制憲議会延長は,三大政党である統一共産党(UML),マオイスト(M),コングレス(NC)の5項目合意を受けたもの。

  (1)CA3ヶ月延長
  (2)平和プロセスの基本合意を3ヶ月以内に作成。
  (3)憲法草案を3ヶ月以内に作成。
  (4)カナル首相は挙国政府形成のため辞任。
  (5)国軍はマデシ系を採用し包摂的とする。

しかし,この5項目合意は玉虫色で,当初から解釈が分かれている。つまり,カナル首相は,いつ辞任するのか?

  * プラチャンダ議長(M):国民合意成立後,辞任。
  * カナル首相(UML):挙国統一政府形成に諸政党が合意したあと,辞任。
  * ポウデル議員会長(NC):直ちに辞任,そのあと平和プロセス開始。
  * ガチャダル(MJF):1週間以内に,辞任。

玉虫色は,かつては日本の専売特許だったが,いまやネパールが本家となった。カナル首相は,いつ辞任するのか?

はっきりしているのは,怪しい手続きで制憲議会が3ヶ月延長されたということだけ。そして,議員たちにとっては,本当はそれでよいのだ。601人巨大議会は,それ自体が既得権益であり,議会任期延長には全員の暗黙の了解があったからである。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2011/05/30 @ 20:02

カテゴリー: 議会, 憲法

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