ネパール評論

ネパール研究会

プラチャンダのルンビニ開発,国連をも取り込む

プラチャンダ議長は,エベレストに赤旗を立てただけに,やはりスケールがでかい。ルンビニ開発に,今度は,国連を取り込むため訪米し,11月7日,パン・キムン事務総長と交渉するという。

周知のように,インドはネパールを「属国」と見なしており,外国勢力のネパール介入を警戒してきた。国連も例外ではなく,ことネパールに関しては,インドと国連は犬猿の仲なのだ。国連がネパールに入れば,欧米や中国がついてくる。

プラチャンダ議長は,そうした国際関係を分かった上で,国連を使ってインドを牽制し,ネパール国益を守りつつ,開発利益を手にしようとしている。

しかも,プラチャンダ議長が共同議長を務める中国系NGO「APECF」には,なぜかアメリカ政財界の大物が名を連ねている。国連は,APECF共同議長たるプラチャンダ議長の要請をむげに断るわけにはいかないだろう。もし仮にパン・キムン国連事務総長が,プラチャンダ議長の要請に応え,「大ルンビニ開発国際委員会」の委員長(議長)を引き受けることになれば,たとえ形だけであれ,その効果は計り知れない。米中は,国連・APECFを介してタライに正々堂々と入ってこれる。

これはインド政府のもっとも恐れる事態だ。タライは「インド領」なのに,中米権益が拡大すれば,タライの「シッキム化」は絶望的となる。

国連が,プラチャンダ議長の誘いに乗るかどうか? 目が離せない。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2011/10/27 @ 19:19