ネパール評論

ネパール研究会

ネパール投資年2012

ネパール政府は,2012年を「ネパール投資年」とすることとし,「ネパール投資促進委員会(NBI)」を設立,銀行協会のラデシュ・パント会長を事務局長に選任した。(NBIは,バブラム首相を議長とする「ネパール投資年国家委員会」の下位執行機関。)

「世界投資レポート(WIR)」によると,ネパールの投資環境は下から8番目。この状況を改善するため,ネパール政府は,会社法,労働法,外国人投資法などを改正し,また知的財産法,経済特区法などを制定するという。

パントNBI事務局長:「内外資本を問わず,投資を保護し,労働問題も解決する。」

このような投資促進策は,どの国でも多かれ少なかれやっているが,ネパールが特に注目されるのは,マオイスト政権だからである。マオイストは,外国資本や国内買弁資本を徹底的に攻撃し,民族資本や国内産業(特に小規模事業)を守ると繰り返し約束してきた。特に労働者・農民の権利保護は党是中の党是。そのマオイスト党公約からすれば,「ネパール投資年」など,到底是認できない反人民的・反民族的政策であるはずなのだ。

ところが,そのマオイスト政府が経団連などネパール財界と結託し,自ら「ネパール投資年2012」を提唱,経済学者にして首相のバブラム博士がそれを主導している。もうマオイストはもたないのではないか? バブラム派とバイダ派への分裂は,避けられないのではないか? 政治家プラチャンダ議長は,どちらにつくのだろうか?

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/01/03 @ 09:37

カテゴリー: 社会, 経済

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