ネパール評論

ネパール研究会

ミスコン不正非難の的外れ

ネパールでは,ミスコンテスト(ミスコン)がますます盛んになってきた。ミス・ネパールを筆頭に,ミス・ライ,ミス・ネワ,ミス・モンゴル,ミス中西部,ミス10代,ミスSLCなど,無数にあるそうだ。

ところが,Pramila Rai, “Ugly face of a beauty pagent”(Republica, 30 Jul)によると,ミスコンでは,参加費不正,コネ・買収による不公平選考,セクハラ,参加者いじめなどが横行しているという。

こうしたミスコン批判は他にも少なくないが,それらに共通するのは,ミスコンの不正・不公平はけしからん,公平・合理的に運営・選考せよ,という主張だ。

しかし,これはミスコンの本質を問わない,的外れな議論だ。正式憲法も議会もなく,政党は離合集散,政争に明け暮れ,まともな統治は望むべくもない。経済はガタガタ,地方農村は疲弊し飢餓さえ心配されている。先進国のミスコンをアナクロとするなら,ネパールのミスコンはグロテスクだ。

ミスコンは女の商品化であり,その選考を「合理化」すればするほど,客観性の外観が強化され,差別化が進行する。ミスコンなど,選考が不公平・不合理であればあるほど,社会に与える害は少ない。

ネパールにおいて,公平さ,合理性が求められるべきは,ミスコンではなく,統治においてである。

ミスコン関連記事

■ミスコン事例(一部)
ミスSLC  ミス10代  ミス中西部
ミス・ライ2012  ミス・モンゴル2012  ミス観光2011

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/08/01 @ 14:28

カテゴリー: 社会, 文化, 人権

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