ネパール評論

ネパール研究会

中央法学図書館の選書センス

トリチャンドラ校の中央法学図書館(Central Law Library)を見学してきた。

ネパールの図書館や文書館は、たいてい雑然としていて埃だらけ、どの本がどこにあるのやら見当もつかないのが普通だが、この図書館は建物は古いものの、掃除が行き届き、ゴミひとつない。署名し、荷物を預けさえすれば、誰でも利用できる。


  ■中央法学図書館

蔵書は、規模の割にはよく揃っている。法理論、法哲学、憲法、民法、刑法、国際法、判例集、政治理論、政治哲学、ネパール政治、民主主義、平和学、国際関係など。レベルは高く、院生、研究者向け。

選書センスは非常によい。日本の自治体図書館は、一般に選書が悪く、きわもの、ゴミ本が多い。本棚をみると、日本人の知的レベルを疑われ、恥じ入るばかりだ。自治体図書館はネパールに視察団を送り、選書方法を学ぶべきである。

本揃えを見ていると、当然ながら、インド法が圧倒的に多く、次に英米法。日本はいうまでもなく、独仏もほとんどない。

法は、本来、市民の自由と権利を守るためのものだが、多くの場合、逆に支配の道具として悪用されている。法を作るものが、法を使って支配する。

インドや英米が、その法学の力によりネパール法学に深い影響を与えていることは明白であり、これは要するにネパールの基本構造をこれらの国が自然な形で規定しているということだ。

インド・英米の知的ヘゲモニー。まさしく、知は力なり、である。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/11/03 @ 13:32

カテゴリー: インド, 憲法, 教育

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