ネパール評論

ネパール研究会

東電OL殺人事件,再審決定

東電OL殺人事件(東電女性社員殺害事件,1997.3.9)で強盗殺人罪に問われ,無期懲役が確定し服役中だったゴビンダ・マイナリ氏の再審請求が,東京高裁で認められた。

1審無罪(2000.4),2審逆転有罪(2000.12),最高裁有罪確定(2003.11)。逮捕後,じつに15年。再審が確定し無罪となっても,15年も過ぎてしまっている。人生に限りのある被告と無限存続(と仮定される)公権力。結果的に無罪となっても,外国人労働者への見せしめ処罰としては十分だ。あまりに不公平,正義に反する。やはり,無罪判決への検察控訴は,認めるべきではない。

この事件では,「東電エリートOLと出稼ぎネパール人のスキャンダル」として大々的に報道したマスコミの責任は重大だ。煽られ,屈折した淫靡な優越意識をもって,のぞき願望を満たしてきた世間も同罪だ。

この圧倒的に不利な状況の中で,15年の長きにわたって物心両面で支援されてきた「無実のゴビンダさんを支える会」の皆さんのご尽力に心から敬意を表したい。

(参照)
2011/07/23  ゴビンダ・マイナリ氏の再審・無罪判決を
2007/09/20  Justice for Govinda Mainali jailed in Japan
2005/10/19  獄中のゴビンダ氏と「支える会」
■ 「東電OL殺人事件」被告ゴビンダ・マイナリ氏の即時釈放を求める。

【追加】検察異議申し立て
東京高検がゴビンダ氏の再審・釈放決定に異議を申し立てたため,再審決定について改めて審理されることになった。
【追加2】
釈放異議申し立ては棄却され,ゴビンダ氏は7日午後,釈放された。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/06/07 @ 12:52

カテゴリー: 司法, 人権

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