ネパール評論

ネパール研究会

ソーラーLEDの街灯とバス停

憲法制定が泥沼停滞中なので,カトマンズ市内を見ることにした。すぐ目についたのが,太陽光発電の街灯とバス停。道路沿いに大量設置中だ。

連日長時間停電なので,電線配電をあきらめ,一足飛びに最先端のエコ持続可能ソーラーLED照明へのポストモダン化。スゴイ,スゴイと驚嘆,感動,雨あられ。憲法に続き,街灯でもバス停照明でも,日本を追い越しつつある。

設置予算は,どこから出ているのか? 街灯の柱は鋼鉄かアルミ(たぶん鋼鉄)で,とにかく立派。上部に太陽光発電板,中間に蓄電池が取り付けられている。バス停の場合は,屋根の上に太陽光発電板,蓄電池はたぶん天井部分収納であろう。

スゴイ,たしかにスゴイが,全体として,どことなく野暮ったく,あか抜けない。もし援助しているとすれば,中国かな?

そう思いながら歩いていると,ありました! ネパール民主主義再建の父の一人,ガネッシュマン・シン像の前にこれ見よがしに林立しているソーラー照明の,像のすぐそばの最も目立つ支柱に,「中国西蔵自治区○○○○」の掲示。○部分は消えているが,英語表記では「贈呈」となっている。他はどうかは不明だが,少なくともここでは中国が援助していた。スゴイぞ,中国!

が,しかし,そこはネパール,太陽光エコ照明でネパールが一気に西洋文明近代を超克するかというと,どうも,そううまくはいきそうにない。少し前に設置された同様の仕様のソーラー発電式街灯を見ると,受光面にはすでに厚くほこりが積もり,どう見ても発電しているようには見えない。日本援助の信号機以上の,文字通り立ち枯れソーラー街灯となっているのだ。年に何回か掃除すれば,使えそうなのに,それすらやっていないようだ。この調子では,蓄電池メンテナンスもやっていないのだろう。(実際の点灯状況は,後日,夜間観察し,報告する。)

いやはや,前近代からの近代以後への一足飛びの跳躍は,かくも難しいことなのだ。街路灯にして然りとすれば,憲法においては,なおさらのことではないのだろうか?

150127■H.エベレスト前

150124a■王宮博物館前

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  ■ガネッシュマン像前/同贈呈表示板

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  ■バス停/埃まみれ太陽光発電版と従来型信号機 

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/02/03 @ 12:40