ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

権威と規律:学校と国家

権威主義の国ネパールでは,学校教育も権威主義により規律されている場合が多い。校長以下,権威のヒエラルヒーが明確であり,生徒は権威に服従する。権威のお手本を習う=まねるのが勉強である。

下の写真は,典型的な学校朝礼の様子。この学校では,太鼓の合図で全生徒が校庭に整列し,国歌斉唱,校長か先生の訓話,生徒代表の決意やスローガンの表明,そして,それらが終わると再び太鼓の合図で全生徒が整然と行進し教室に戻っていく。軍事教練とそっくり。

お見事! 社会生活における前近代的利己主張が強烈なお国柄だけに,「権威」を強調しなければ,学校運営も教育も成り立たないのだろう。

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その前近代的ネパールを統制してきた絶対的権威としての国王=ビシュヌ神化身を放棄してしまったネパールは,今後,国王に代わるどのような「権威」を戴き,社会の規律と秩序を維持することになるのだろうか? 

日本の天皇は,前近代的・非民主的だが,天皇に代わる民主的「権威」を戴く覚悟を日本人はまだ持ちえていない。現代日本において,民主的「権威」は,前近代的・非民主的な天皇の権威よりも,はるかに危険なのだ。想像もしてみよ,安倍首相を最高「権威」として戴く日本――近代的・民主的には違いないが,安全と言えるのか?

もしネパールが,新憲法を制定し,民主的にしてかつ安全な「権威」の創出・維持に成功するなら,ネパールは政治的に日本を超克し,日本より先進的な現代民主主義国家に飛躍するであろう。可能性はある。が,限りなく難しい課題であることは,いうまでもない。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/02/07 @ 19:32

カテゴリー: 社会, 教育, 民主主義

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