中国製航空機の運航不安
ネパールでは空路が発達しており安くて便利だが,事故も多い。6月22日にも,政府職員を乗せカトマンズからゴルカに向かっていたヘリ(9N-AKF)が鳥と衝突しサンド村付近に不時着,横転し炎上した。死者なし。
そうしたなか,不安を感じざるを得ないのが,ネパール航空(NAC)の中国製MA60(新舟60)とY12e(運12e)。性能とコストに難があり,いま大問題となっている。
そもそもこのMA60とY12eは,別にMA60を1機,Y12eを3機購入する見返りに,おまけとしてタダで中国からもらった飛行機。が,やはりタダほど高いものはない。
報道によると,両機とも米欧の形式認定がないので保険料が割り増しとなっている。2機で33万ルピー/日というから,結構なお値段だ。さらに交換部品が高いうえに,必要なときに入手できない。また乗員訓練費も高いそうだ。
安全に直結するのは,両機の性能だが,どうやら能書き通りではないらしい。離発着能力不足のため,乗客定員56のMA60はトリブバン空港では空席2,バドラプルなど地方空港では空席22とせざるをえない。乗客定員19のY12eの方は,空席3のうえに,山間地空港では離発着できないそうだ。
NACは,中国プレゼント飛行機をもてあまし,2機とも返却し,他の4機の発注をキャンセルすることも検討中という。
新聞報道だけではどこまで事実かわからないが,NACがフライトに問題を抱えていることは,たしかなようだ。利用者としては,こんな状態で安全が確保されているのかどうか,不安を禁じえないであろう。
■新舟60(新華社4月28日)/尖閣接近のY12(防衛省=共同2012-12-22)
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[参照]
(*1)KRITI BHUJU, “HIGH-LEVEL PANEL TO ADDRESS PROBLEMS WITH CHINESE AIRCRAFT,” Republica,11 Jun 2015.
(*2)SANGAM PRASAIN,”Chinese aircraft burden for NAC, says minister,” Ekantipur,2015/06/17
(*3)”Simrik Air chopper catches fire after bird hit Chopper destroyed after emergency landing,” Ekantipur,JUN 22
谷川昌幸(C)
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