ネパール評論

ネパール研究会

京都の米軍基地(80): 子供利用の日常化

進駐米軍は,日本各地で日本の子供たちを米国益のために利用している。目的それ自体たる子供自身の権利(特にプライバシー)の無視であり,子供搾取といってもよいであろう。

Xバンドレーダー基地を設置した京丹後市でも,米軍は,基地の軍人・軍属や米軍軍楽隊を市内の子供園(幼稚園・保育園)に次々と送り込み,子供たちに米軍文化を刷り込む一方,その様子を写真に撮り,本国納税者に見せ,巨額軍事費負担を納得させようとしている。動員されている軍人・軍属個々人は「善意」かもしれないが,これは,異文化の外国にやってきて軍隊がやるべきことではない。

こうした米軍の子供利用は,たとえば途上国援助に熱心な先進国NGOが,現地の貧しい人々やかわいそうな子供たちの写真を撮りまくり,本国支援者たちに見せ寄付を募るのと,構造的には同じことである。そこでは,本来なら何よりも尊重されるべきはずの現地の人々自身の尊厳が,多かれ少なかれ,二の次とされてしまっている。

米軍の京丹後市子供園訪問も,第一に米国納税者を納得させるためであり,第二に基地周辺の住民を慰撫するためである。そのためには,無邪気に喜ぶ子供たちの笑顔は不可欠である。顔の削除は,もってのほか。米軍ホームページやフェイスブックに,子供たちの無修正写真が氾濫するのは当然といえよう。

日本人が日本人の子供に対してこんなことをすることは許されない。が,先進国たる宗主国アメリカにとって,日本原住民の子供の人権など,鴻毛よりも軽い。

▼第14ミサイル防衛中隊&在日米陸軍軍楽隊の子供園訪問
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 ■峰山子ども園(峰山町)(子供の顔引用者削除,経ヶ岬米軍FB9月1日)

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 ■丹後子ども園(丹後町)(子供の顔引用者削除,経ヶ岬米軍FB8月28日)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/09/02 @ 19:00