ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

京都の米軍基地(86): 沖縄の今日は京丹後の明日

沖縄を2日ほど見てきた。初の沖縄であり,数カ所を外から眺めたにすぎないが,それでもやはり大変な情況だった。

移動はレンタカー。一般道を走ると,Yナンバー(米軍関係者車両)と頻繁に出会い,高速道では前後をタンクらしき装甲車に挟まれてしまった。上空には飛び交うヘリ。初めての経験で,ビビってしまった。

「道の駅かでな」に立ち寄ると,眼前に空軍基地。輸送機や戦闘機が頻繁に発着し,上空では戦闘機が轟音を響かせ曲芸飛行訓練をしている。恐ろしい。

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■「道の駅かでな」からみる嘉手納基地

逃れるように「海洋博公園」に行くと,至る所に監視カメラがあり,一挙手一投足を監視されている。そして場内のあちこち,園内バスや復元古民家や飲料自販機にすら,「テロ警戒中」「不審者通報を」の警告が掲示されている。背筋がゾォーとした。

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■海洋博公園の監視カメラ

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■海洋博公園のテロ警戒掲示:美ら海水族館前・園内バス・自販機・古民家

この沖縄に比べ,京丹後では米軍基地はいまのところはるかに小さいし,駐留しているのもXバンドレーダー要員が中心だ。しかし,基地周辺は土地が狭いし,地域住民も少ない。そのため丹後町やその周辺における米軍の存在は,相対的には沖縄と大差ないほど大きいとみざるをえない。京丹後はいずれ沖縄のようになる。今日の沖縄は京丹後の明日なのだ。

そうしたなか,特に気になるのが,住民監視体制。すでに幾度か指摘したように,基地交付金で住民監視カメラが市内要所に設置され,米軍参加の「テロ対策ネットワーク」も発足している。(参照:基地補助金で住民監視カメラ

ここで注意すべきは,こうした住民監視体制は,住民自身の要望という形をとり,推進されているということ。たとえば,「米軍基地建設を憂う宇川有志の会」フェイスブック(1月10日)では,こう指摘されている。「島津のシェネガ宿舎は変化なしですが,入り口そばの三叉路の一角に全方位型の防犯カメラが設置されました。これは地域の要求を受けてということでしょう。」

もし本当に「地域の要求を受けて」監視カメラが設置されたとするなら,これは恐ろしい。「防犯カメラ」は詐称であり,実名は「監視カメラ」。監視されるのは,米軍人・軍属というよりは,むしろ地域住民自身だ。「テロリスト」や反基地派から米軍(軍人・軍属とその家族および軍施設)を守るための24時間常時監視カメラ。

このことは,京丹後市が基地交付金により「防犯カメラ」を設置した事実をみれば明白。「広報きょうたんご」(2015年5月号)は,こう説明している。「日本で第一級の安全で安心なまちづくりに取り組む本市では、犯罪抑止力を高めるとともに、犯罪発生時に迅速かつ的確に対応するため、防衛省の交付金を活用し、駅の駐輪場や幹線道路、漁港など17カ所に22基の防犯カメラを設置しました。」

京丹後の住民監視社会化の危険性は,基地建設当初から,すでに指摘されていた。たとえば,島田けい子府議会議員(共産党)は2014年10月,こう質問している。

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【島田】現実には、テロリストも含めまして既に自衛隊と警察との間で、この地域では訓練等もされているのです。テロリストが市民を装って攻撃してくることも考えて警備を要請しているということになりますと、市民がいつも監視されることになるわけです。現に、海水浴で訪れた家族に対して「身分証明書を見せろ」とか、そういうように質問をしてくる。基地が出来上がったら、基地周辺には投光器で照らされて、監視カメラがつけられ、常時、市民が監視されるような事になりはしないかと、住民は大変危惧を抱いておられます。府は当初、レーダー配備に伴いテロの攻撃の標的になるのではないかとの懸念を表明されました。防衛省の回答でその当時の懸念が解決されたのかどうか、具体的な根拠も含めてお答えください。
【総務部副部長】テロの話とか、全然そういうことは聞いておりませんので、防犯カメラも当然、基地の周辺はカメラを付けますけれども、市民を監視するようなカメラを米軍の方が設置するというようには聞いておりません。[島田委員:米軍レーダー基地についての質問と答弁(大要),2013年度決算特別委員会総務部書面審査(2014 年 10 月 07 日)]
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文脈が少し不明瞭な部分もあるが,もし「この地域」が京丹後を指すのなら,すでに観光客・海水浴客ですら監視されていることになる。そして,その監視体制が,住民自身の要求で増設される「防犯カメラ」により,今後さらに強化され,蟻一匹見逃さない完璧な万人監視体制となっていくことは避けられないであろう。

ここで忘れてはならないのは,監視にはすぐ慣れるということ。私が沖縄「海洋博公園」にいたのは2時間ほどだった。入場当初は,監視カメラにドキッとして身構え,恐怖を煽る「テロ警戒中」や「不審者通報を」に不快を禁じえなかったが,しばらくすると監視カメラにも「テロ警戒中」看板にも慣れてしまい,あまり意識しなくなった。

真に恐ろしいのは,まさにこれ。監視の極意は,監視に慣れさせ,「見られている」ことを意識させないこと。私自身がそうだったように,人は監視にすぐ慣れる。日本政府(防衛省)=京丹後市当局の狙いもここにある,とみてよいだろう。

日本一の安全安心を目指す基地の町=京丹後は,間違いなくモデル監視社会になる。京丹後観光には,写真付きマイナンバーカード必携!!

【参考】子供利用への慣れ: 海兵隊と保育園(名護市)
160115i■海兵隊FB(1月16日,子供の顔引用者削除)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2016/01/15 @ 20:51