ネパール評論

ネパール研究会

オリ内閣拡大,最高裁追認

ネパール最高裁は1月13日,オリ内閣拡大に対する違憲の訴えを棄却した。

昨年末,オリ首相が内閣を憲法76条規定の25人以内を大幅に超過する40大臣へと拡大したことに対し,KK・ネウパネ弁護士が最高裁へ違憲の訴えを出した。これに対し,首相内閣府は弁明書を提出し,(1)内閣拡大は「時代の要請」に応えるものであり憲法の精神には反しない,また(2)第76条は,上下院が新憲法に則り成立して以降に適用されるべきものである,と反論していた。

最高裁は,13日の判決において,内閣の弁明を全面的に認め,内閣拡大は「時代の要請」に応えるための「政治的決定」であるとして,違憲の訴えを棄却したのである。

あれあれ,これは,極東の某先進国においてこの頃しきりに愛用されている理屈とそっくりではないか。現代立憲主義が,憲法による政府(行政権)の恣意的行為を縛るものなら,ネパールでも,新憲法を制定したばかりだというのに,はや立憲主義は危機に瀕しているということになりそうだ。

160114■トリブバン大学法学部の「正義の女神(テミス)像」(2015年11月撮影)

【参照】
*1 “Supreme Court quashes writ against Cabinet expansion,” The Himalayan Times, January 13, 2016
*2 “Cabinet expansion ‘need of hour’, says PM,” The Himalayan Times, January 13, 2016
*3 オリ内閣拡大,困ったときの椅子頼み
*4 ネパール式パーキンソンの法則,オリ巨大内閣

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2016/01/14 @ 18:24

カテゴリー: 行政, 議会, 司法, 憲法

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