ネパール評論

ネパール研究会

イタリアの旅(15):アルプスの十字架

アルプスの山頂や難所には十字架が立てられているところが多い。日本の山でも,たとえば富士山,御嶽山,立山などに神仏が祭られているのとよく似ている。宗教は異なれ,人は,鋭鋒や巨岩などに人知を超えた力の働きを感じ,おそれ,その力の主に加護を求めるものらしい。

ローマ時代の遺跡で知られるアオスタからバスで1時間ほどのところのコーニュ(Cogne)にも,そうした十字架がいくつか立てられている。

コーニュは,やや観光地化されているが,それでも古い村の趣を残す美しい村だ。バス停からほんの数分歩くと,谷間一面の牧草地の向こうにイタリア最高峰グラン・パラディーゾ(4061m)を望むことのできる広場につく。その正面に十字架と水場がある。

そこから村の中を山に向かって10分ほど歩くとゴンドラ乗り場があり,これでグラン・パラディーゾ前山の2100m付近まで登る。そこから登山道を30~40分登ると,切り立った尾根筋に出る。この尾根のグラン・パラディーゾ側は,氷河に削られたのであろう,垂直以上のゾォーとするような絶壁となっている。

その絶壁の上に,十字架が立てられている。造物主の偉大な業を,村人たちはここにも認めたからであろう。

●アオスタのローマ遺跡

●コーニュ

 ▲村の教会/グラン・パラディーゾと十字架


 ▲水場/吐水口

●ゴンドラ駅上の登山道からの展望

 ▲グラン・パラディーゾ/尾根筋の絶壁


 ▲絶壁上の十字架

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2017/08/04 @ 16:55