ネパール評論

ネパール研究会

ネパール,UNHRC理事国に

国連総会は10月16日,ネパールを国連人権理事会(UNHRC)の理事国に選出した。アジア地域最多の166票をネパールは獲得。この結果につき,ドゥルガ・プラサド・バタライ国連大使は,こう述べている。

「ネパールは,内発的な国民参加型平和構築により2015年には人権を原理とする憲法を採択し,国を挙げてその施行を固く決意するに至った。今回の人権理事国への選出は,このユニークな成功経験を持つネパールには人権理事会事業に貢献する能力がある,と認められたことを意味する。」「紛争後ネパールにとって,この選出は,内外における人権への国際的貢献国としてのネパールの意義を実証していくまたとない機会である。」(*2)

これは,人権・平和・民主主義へのネパールの内発的努力を強調しその世界的意義を訴えており,先に紹介したカナク・マニ・デクシト「民主主義をネパールに誰が教えてくれるのか?」のネパール・ナショナリズムと相通ずるところがある。

DP・バタライは現国連大使,KM・デクシトは元国連職員。国際社会と対峙すると自国の自主性や独自性を強調するナショナリズムに傾くのは自然な流れであり,そこは割り引かなければならないが,その一方,彼らが訴えるネパール現代政治の独自の経験の中に世界が学びうるものがあることもまた事実であろう。

 ■バタライ国連大使「人権の日」挨拶(国連HPより)

*1 “General Assembly, by Secret Ballot, Elects 15 Member States to Serve Three-Year Terms on Human Rights Council,” OHCHR HP
*2 “Nepal elected to UN Human Rights Council.” Kathmandu Post, Oct 17, 2017

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2017/10/18 @ 16:19