ネパール評論

ネパール研究会

高山の英語化(3):横断歩道停車の文化

高山市は,どうやら市役所が音頭をとって「英語化」を進めているらしい。『声の広報たかやま』では,「おもてなしの英会話」が放送され,これはネットでも聴くことが出来る。英語で,おもてなし!

▼高山市外国人宿泊数(同市HPより)

この高山市の英語化政策は,外国人観光客激増とも相まって,言語使用のみならず人々の行動にも影響を及ぼし始めているようだ。最も驚き感心したのは,交通道徳。やんちゃな大阪はむろんのこと他のほとんどのところでは,歩行者が横断歩道の前に来て立っても,単にそれだけでは車の方はまず止まらない。車の流れが途絶えてから,歩行者の方が横断歩道を渡り始める。道交法は歩行者優先,停車を義務付けているが,実際には車優先となっている。

ところが,高山では,歩行者が横断歩道のところに来ると,たとえ渡る素振りを見せなくとも,むろん渡り始めなくても,車の方が先にピタッと止まる。歩行者優先,実に見事。欧米の交通道徳が高山に取り入れられ,早や文化として定着したのだ。

もちろん,これはごく短期の,わずかの目撃事例からの単なる推測にすぎない。高山の歩行者優先は,以前から遵守されてきた地元の伝統的交通道徳なのかもしれない。が,あまりの高山激変に驚いた私には,それが近年の外国人観光客激増やそれに対応するための英語化政策と無関係とはどうしても思えない。

横断歩道では歩行者優先を当然と考え,そう行動する外国人観光客がこれほど増えてくれば,彼らの行動様式に地元,高山の人々の方が合わせざるを得ないのではないか? 駅案内を英語優先とせざるを得ないのと同じように。


■駅前の横断歩道。駅前広場はほぼすべて外国人観光客/早朝の上三之町

【参照】Eテレ「おもてなしの基礎英語」:年間3000万人に届く勢いの訪日外国人旅行客。・・・・そんな海外からのゲストを「おもてなし」の心で迎え入れ、気持ちよく過ごすために使える基礎レベルの英語を学ぶ新番組。

谷川昌幸(C)

 

Written by Tanigawa

2018/10/22 @ 14:03