ネパール評論

ネパール研究会

数に弱いAI

全くの素人ながら,この数か月,生成AIを使用してみて気付いたのが,数字に弱いこと。「まさか,そんな馬鹿な!」と驚かれるかもしれないが,これは紛れもない事実。

生成AIはデータを数値化し演算分析総合をしているから,数に弱いはずがないと,当初,頭から信じ込んでいた。ところが,実際には,そうではなかった。数については,小学生でもやらないような,とんでもない誤りを犯す。しかも,その誤った回答を,自信満々,親切めかした表現で,堂々と提示する。

むろん数的な計算問題ではない。誤るのは,出来事の日付や統計引用文内の数値など,文章と数が組み合わされている場合の回答。

たとえば,「1989年,ネパールが中国に接近することをきらったインドは,通商通過条約の更新を拒否」(『アジア読本ネパール』)という文章であれば,AIはキーターム「1989年」と「通商通過条約」を取り出して結合,「1989年に通商通過条約が締結されました」といった回答を出す場合がある。

あるいはまた,「当時,1人当たりのGDPは50ドル,識字率はわずかな4.4%」(『現代ネパールを知るための60章』)という文章であれば,AIは文章のなかの「当時」を見落とし,出典名「現代ネパール」と「GDP50ドル」・「識字率4.4%」を結び付け,それがネパールの現状であるとして,その低開発をことさら際立たせるような回答を出しがちである。

これは恐ろしい。AI回答文内の数値にはくれぐれもご用心を!

*AI自身は,まだこの問題には気付いていないらしい。
質問]AIが苦手な質問は?
Copilot回答]AIは、以下のような質問に対して苦労することがあります:主観的な意見,[AIの]自己認識に関する質問,未来予測,個人情報

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2023/10/23 @ 14:55

カテゴリー: 情報, 文化

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