ネパール評論

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晩春の山村

晩春の陽気に誘われ,丹後半島の山奥の小さな村を訪れた。豪雪地帯だが,さすがにもう雪はなく,菜の花や八重桜が満開だった。

山間の十数戸の家屋は独特の建築様式で,新緑に馴染み,なかなか趣がある。が,ここでも過疎化が進んでいるらしく,あちこちに廃屋が見られた。

伝統的な家屋を村として修復保存できれば,近くに高速道路の出入り口が開設されたこともあり,観光名所になる可能性は十分にあるのだが,いまのところその気配は感じられない。残念。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2018/04/25 at 15:01

反文化的・反公共的な文化公共施設

ほんの数日の滞在にすぎないが,高知でも,自然破壊が目につく。たとえば四万十市は,四万十川の清流を売りにしているが,川沿いの市街や護岸・橋梁・道路等は殺風景だし,高知市の土佐湾沿いの,かつては白砂青松の長く美しかったであろう海岸も,堤防と道路で台無しだ。

140913e ■川海苔栽培。四万十川自体は美しい。(2014-9-9)

特に嘆かわしいのが,ここでも文化公共施設による景観破壊。たとえば国民宿舎は,たいてい眺望の最もよい高所にそびえ立っている。なるほど国民宿舎からは周囲の絶景が堪能できるだろうが,自然景観の方は,どこからでも目に入る派手な建物により無残に破壊されてしまう。国民宿舎の多くは,ジコチュウであり,見られることにまで思いが至らない。見るが見られないと錯覚している。自己破壊的といってよい。

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 ■桂浜より国民宿舎桂浜荘(同左HP)/横浪公園内の国民宿舎土佐(同左HP)

なかでも,高知で度肝を抜かれたのが,坂本龍馬記念館。龍馬ゆかりの桂浜の岬の丘の上,古城跡にある。建物は,ケバケバしい色,無機質な直線的デザインで稚拙,およそ文化的とはいえない。桂浜一帯の伝統的自然景観を著しく害している。

このような奇妙奇天烈な反文化的建物を,風光明媚な歴史的景勝地に,なぜ建てたのか? まったくもって不可解。龍馬も当惑しているにちがいない。

140913c ■龍馬記念館(同左HP)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2014/09/13 at 11:34

カテゴリー: 文化, 旅行

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