ネパール評論

ネパール研究会

京都の米軍基地(1)

小事にかまけていたら,一大事の発生に気づかなかった。なんと,京都の丹後に,米軍基地が新設されるというのだ。よりによって京を米帝に差し出すとは,「美しい国」の「国家の品格」も地に落ちたものだ。

◆設置場所:航空自衛隊経ヶ岬分屯基地
◆米軍施設:移動式早期警戒Xバンドレーダー
◆米軍関係人員:約160人

とんでもない計画だが,2013年2月23日の押しかけ日米首脳会談で,安倍首相がオバマ大統領に,基地建設を貢ぎ物として差し出してしまった。だから地元には,すでに決定されたものとして,一方的に建設計画の概要が説明されているにすぎない。

この説明は,明白な「ウソ」に基づき,単なる手順として,平然と進められている。以下,京都府庁で行われた,京都府知事に対する防衛省の大嘘説明(「Xバンドレーダーに係る説明概要」2013年3月22日)。

▼Xバンドレーダー基地は,「我が国を防衛するという観点で導入し配置も決定」(古屋地方調整課長)
▼京丹後市が標的になるのではとの質問に対し,「様々なレーダーがあり,冗長性があるため1つのレーダーを攻撃する特段のメリットが相手方には無い」(同上)
▼「また,米軍の施設であり,攻撃した場合には米国の対応が予想されるため,これにより大きな抑止力が働いている」(同上)

これらの説明は,真っ赤なウソだ。まず第一に,このレーダー基地が米国防衛を主目的としていることは,自明のことだ。

また,標的にならないとは,よくもヌケヌケと,小学生にも分かるウソをつけたものだ。「冗長性」などと,一般人には意味不明のジャーゴンを使わざるをえなかったのは,そのため。冗長性があるのなら,わざわざ屋上屋を重ねる必要はない。冗長性がないからこそ,丹後に新設するのだ。

さらに,米国の軍事力がテロ集団やテロ国家に対して抑止力として機能しないことも,いまでは常識。米国は,自国の核兵器や通常兵器が抑止力を失ってきたので,身代わりの攻撃目標を日本に引き受けさせようとしているのだ。これも常識。

しかし,これらの真っ赤なウソは,「大きなウソ」であるため,地元の人々はウソと反論できず,すでに見返りを最大限分捕るための条件闘争に入りつつある。

これは一大事。遅ればせながら,情報を集め,対策を考えていきたい。

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■航空自衛隊経ヶ岬分屯基地(航空自衛隊HP)

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■米軍Xバンドレーダー建設計画(防衛省HP)

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■Xバンドレーダー(防衛省HP)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/05/16 @ 06:55