ネパール評論

ネパール研究会

新憲法制定,またまた延期

新憲法制定は,7月中旬の予定が延期され,8月16日とされていたが,これもまた延期されてしまった。つぎはいつになるか,今のところ不明。

そもそも主要4党(NC,UML,UCPN,MJF-L)が,震災対応に迫られ,新憲法制定に関する「16項目合意」に署名したのが6月8日。このときの「合意」では,8州からなる連邦国家憲法を起草し,7月16日に制定公布することになっていた。ところが,議論が紛糾し,期限までに起草できなかったので,主要4党は憲法制定を8月16日まで延期し,そして8月5日には,州の数を6とし,州区画までも決めて発表した(下図参照)。しかし,それでも最終合意にはいたらず,またまた制定先送りとなってしまった。

こうした混迷の中,憲法起草作業は徐々にコングレス寄りなり,それに反比例して,反対も激しくなってきた。反政府33党連合は8月16-17日,バンダ(ゼネスト)を行い,各地で警察と衝突,117人が逮捕された。タライでは,与党寄りという理由でカンチプル,ナガリク,アンナプルナポストなどが焼かれた。また憲法起草委員会では8月14日,UCPN選出委員がシタウラ委員長(NC)の委員会運営方法に抗議し,辞任してしまった。

コイララ首相は,全般的な保守回帰,NC優勢もあってか,新憲法起草は着実に進み,明日にでも公布可能だ,などと語っているが,しかし各紙報道を見ると,新憲法の根幹部分についてですら合意はまだ見られていないといわざるをえない。

州の数は8⇒6となったが,ここにきて,NCは7州でもよいといっている。あるいは他にも,「世俗」規定を入れるか否か,比例制に最低得票率を設定するか否か,現職首相・大臣等の任期をいつまでにするかなど,以前からの懸案事項がそのまま残っている。この情況で,新憲法は,いったいいつになったら出来るのであろうか?

▼6州案(Kathmandupost FB, 9 Aug)
 150816

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2015/08/17 @ 18:29

カテゴリー: 憲法

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