ネパール評論

ネパール研究会

京都の米軍基地(95):怒涛の米軍文化攻勢

京丹後駐留米軍(経ケ岬通信所第14ミサイル防衛中隊)の文化攻勢が,ますます激しくなってきた。ターゲットは,子供,老人,一般住民,自治会役員,議会議員,官公庁職員など。洗脳(brainwashing)といっても過言ではない。下掲写真はその一部(子供の顔削除)。

▼「網野幼稚園」京丹後米軍&在日米陸軍軍楽隊演奏会(4月19日)
160611e(京丹後米軍FB5月4日)

▼「かぶと山こども園」京丹後米軍&在日米陸軍軍楽隊演奏会(4月20日)
160611g(京丹後米軍FB4月28日)

▼「袖志農民研修所」在日米陸軍軍楽隊演奏会(4月20日)
160611f(京丹後米軍FB4月28日)

▼「袖志文化交流会」米語教育(6月1日)
160611d160611h
(京丹後米軍FB6月3日/在日米軍司令部FB6月6日)

▼京丹後市議会有志の基地訪問(6月6日)
160611c(京丹後米軍FB6月8日)

▼日米交流音楽会(6月13日)
160611b■主催:防衛省/後援:京丹後市国際交流協会/出演:米空軍太平洋音楽隊&京丹後米軍

これらの写真を見るとわかるように,米軍は子供や老人あるいは一般市民向けの文化行事においても,たいてい軍服ないし制服を着ている。これは,米軍の作戦(operation)の一環だからであり,地域住民に米軍の存在を知らしめ,慣れさせ,馴染ませることが目的だ。米軍文化への洗脳。したがって,第一のターゲットとなるのは,当然,最も洗脳しやすい子供たちということになる。

洗脳には,理屈よりも情の方が手っ取り早く効果的だ。米兵が,かっこよい軍服や制服姿で遊んでくれたり,おやつをくれたり,軽快な音楽を奏でてくれたら,子供などたちまち米軍の虜になってしまうだろう。

物心がつき始めた子供や大人たちには,米語(英語)やキリスト教なども,米軍の格好の情宣手段となる。米語は世界共通語だと教え,日本語劣等感を植え付け,そして,そのうえで軍服着用の米兵が米語を教える,あるいは制服米兵がうろちょろする会場で軍人家族や軍属が米語を教える。米語(英語)帝国主義。お見事!

キリスト教も極めて有効。米軍には従軍司祭(従軍牧師・神父など)がいる。その直接的・間接的な監督の下,クリスマス,イースターなどの宗教行事が執り行われ,その一環として地元住民――とくに子供たち――が招かれる。あるいは,日本側主催のクリスマスなどに米軍人・軍属らが参加し,催しを軍事化・宗教化する。かくして,キリスト教の神は米軍駐留を祝福し,その場に集う日本人もその祝福のおこぼれにあずかる。お見事!

米軍からすれば,このような地元向け文化活動は当然のことだ。地元住民を洗脳し米軍の文化的優位を刷り込んでしまえば,米国益のための基地の維持・使用も容易となる。しかしながら,ここは京丹後,米軍文化に洗脳されるべきいわれはみじんもない。

とくに守られるべきは子供たち。米軍は,子供たちを洗脳するばかりか,行事参加の子供たちの写真や動画を撮りまくり,高画質・無修正のまま,それらを世界中にばらまいている。原住民の無邪気な子供たちを見守り育む慈父のような米軍!

子供たちの,このような政治利用,軍事利用は,断じて許されてはならない。

[参照]児童の権利に関する条約(1989年国連採択)
「児童は特別な保護及び援助についての権利を享有することができる」(前文)
「児童に関するすべての措置をとるに当たっては、・・・・児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。」(第3条)
「締約国は、思想、良心及び宗教の自由についての児童の権利を尊重する。」(第14条)
「いかなる児童も、その私生活、家族、住居若しくは通信に対して恣意的に若しくは不法に干渉され又は名誉及び信用を不法に攻撃されない。」(第16条)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2016/06/11 @ 10:08