ネパール評論

ネパール研究会

「一帯一路」喧伝のUNDPネパール

このところ「UNDPネパール(国連開発計画ネパール)」が,中国主導の「一帯一路」を連日,ツイッターなどで大々的に宣伝している。ネパール・メディアを見る限り,中国本国より国連の方が熱心にさえ見える。

UNDPは2016年9月19日,「一帯一路」を中国と協力して推進する了解覚書に署名した。そのための「行動計画」にも合意している。了解覚書に署名したヘレン・クラークUNDP総裁(元ニュージーランド首相)は,署名後,こう述べている。

「一帯一路計画(BRI=Belt and Road Initiative)」は,経済成長と地域協力のための強力な基盤(platform)であり,途上国を主とする40億人以上の人々を対象としている。・・・・それは,持続的発展のための重要な触媒となり,また加速装置ともなりうるものである。」(UNDP HP, 2016-09-19)

手放しの賞賛といってもよいであろう。権威あるクラーク総裁(在職:2009~2017年)が,こう号令をかけているのだから,「UNDP中国」はむろんのこと,「UNDPネパール」も「一帯一路,万歳!」となるのはごく自然な成り行きである。

これはやはり中国外交の勝利とみてよいであろう。UNDP拠出金(2016年)は,第1位=日本,第2位=EU,第3位=米国であり,中国は上位30位以内には入っていない。それなのに,米国は「アメリカ・ファースト」で国内向きとなり,米追従の日本も中国のような壮大な世界構想は示せない。

古来,世界の新たな秩序をつくり平和と繁栄を実現しようとするのは,新たな覇者。世界秩序の中心は,西洋から中国へと,いま大きく転換しはじめたのではないだろうか?


 ■UNDP in China HP/UNDP in Nepal Twitter(2017-05-14)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2017/05/16 @ 20:34