ネパール評論

ネパール研究会

紹介:安倍泰夫『ネパールで木を植える』(1)

安倍泰夫『ネパールで木を植える ドクトルサーブと命の水の物語』(信濃毎日新聞社,2022年)が出版された。著者は医師で登山家。他に『ネパールの山よ緑になれ」(春秋社,2002年)などがある。

この本では,1974年ラムジュン・ヒマール登山のときの遭難死寸前からの奇跡的生還,カトマンズの小児病院ボランティア勤務,トリスリ河畔での少女ドゥルガとの運命的出会い,その出会いに導かれての地域住民との関係拡大・深化,そしてその機縁から始められたその地域での植林の事業的展開へと記述がすすめられていく。

本書のメインテーマは植林事業であり,筆致も全体的に抑制的だが,著者のネパールでの実体験そのものが日本では想像もできないほど緊迫し予見しがたいことの連続のため,植林事業の経過報告とは思えないほどハラハラ,ドキドキさせられる。もし仮に自分がこのとき著者であったなら・・・・と,感情移入すればするほど考えさせられ,興味深く読み進むことが出来る本である。

以下,いささか読書感想文的になるが,私自身の見聞も参考に供しつつ,本書を紹介していくことにしたい。

200206a ■表紙カバー

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2022/02/06 @ 15:53