TwitterからXへ:改称の「神」秘への不安
「Twitter」が「X」に名称変更されたのは,2023年7月24日。この改称には当初から違和感があり,それが時とともに減少するどころか,逆にますます拡大してきた。「なぜだろう?」と不思議に思っていたのだが,クリスマスが近づいてきて,「あぁ,そうだったのか!」と,自分なりにその理由を得心させられるに到った。
「Twitter」は,「さえずる/さえずり」という意味で,140字の自由投稿アプリに相応しい命名であり,楽しく有意義に利用させていただいていた。ところが,これが「X」へと改称されると,もはや,そうはいかなくなった。
「Twitter」を買収したE・マスク氏は「X」への改称を,あらゆる情報のためのスーパーアプリ(everything app)とするため,と説明した。ドメイン「x.com」を所有し,「スペースX」を創設したマスク氏らしい。
が,小心臆病の私には,そのような万能スーパーアプリをめざす「X」は,当初から,どことなく薄気味悪く,怖気づかざるをえないようなものだった。「ニッポニカ」百科は,文字 “X” について,こう説明している―
「Xはキリストを表し,クリスマスはX’masと書くことがある。化学ではキセノンの元素記号であり,数学ではXは第一未知数(量)を表し,そこから転じて未知の人間や事物を示すのに用いられる」(斎藤公一)。
「X」は,始原であり無限であり未知,そして神(キリスト)である。
マスク氏自身は,「X」アプリが宗教的意味を持つとは言っていないが,それが “あらゆる情報のためのアプリ” を目指すとすれば,そこに宗教的な意味が生じてくるのは自然であり必然ともいえよう。「X」が,アクセスのたびに,多かれ少なかれ「怖れ」を感じさせるのは,そのためなのだ。
クリスマスが近づき,巷にあふれる “Xmas” を目にするようになってはじめて,「あぁ,そうだったのか!」と気付かされた次第。いまさらながら。
谷川昌幸(C)
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