ネパール評論

ネパール研究会

ネパール憲法AI探訪(14): 国旗の図像学(1)

ネパール憲法は,第8条で国旗(राष्ट्रिय झण्डा)について規定している。

ネパール国旗は,世界唯一の三角形の国旗とされており,図像学的に見ても,それ自体,歴史的・文化的・政治的に大変興味深い国旗である(参照:国旗一覧)。

ネパールがこのような特徴的な旗を憲法で国旗と定め,国民として敬意を払い,保持してきたのは,なぜか? 憲法理解の観点から,ごく基本的な国旗図像解釈の要点をいくつか見ていくことにする。

ネパール憲法
第8条 ネパール国旗(राष्ट्रिय झण्डा)
(1)ネパール国旗は,濃青色で縁取られた深紅色の2つの三角形を一部重ね,上部[の三角形部分]には16の光線のうちの8光線を放つ白い三日月紋章が,また下部[の三角形部分]には12の光線を放つ白い太陽の紋章が付されているものとする。
(2)国旗の作成方法その他の関連事項は,付則1の通りとする。

■ネパール国旗(憲法付則1)

[追補]AI:大混乱からやや回復
昨秋のAIは大混乱,デタラメ回答乱発で,ほとんど使い物にならなかった。たとえば――
Bard回答(2023/12/11)
「国旗の色は、上部が赤、下部が青です。・・・・また、国旗の上部には金色の太陽、下部には金色の月が描かれています。太陽は王室、月は宰相一家を表しています。」
ChatGPT回答(2023/12/11)
「ネパールの国旗は・・・・二つの三角形が組み合わさった特異な形状をしています。・・・・これは、両側が三角形で構成され、中央が二重の三角形であることを意味します。・・・・中央の三角形は、国旗の中央に大きく配置されており、その中にさらに小さな白い三角形が描かれています。・・・・白い三角形の中には、太陽と月が描かれています。」

どうしてこんなデタラメ回答になったのか? しかとは分かりかねるが,おそらく昨夏ころからAIによる著作権やプライバシーの侵害が欧米で大問題となり,AI側が情報の収集・分析を自粛したことが,主な原因の一つではなかったかと推測している。とにかく,メチャクチャ,AI回答の相当数がそのままでは使い物にならなかった。

ところが,ありがたいことに,年末・年始を過ぎると,AIは急速に平静を回復し始め,回答も安定してきた。このまま改善されていけば,AIは,誤り多き人間の有能不可欠の助手として大いに活躍してくれるにちがいない。大いに期待している。

以下,本稿でも,誤りには十二分に用心しつつ,AIを最大限活用し,ネパール憲法の考察を進めていきたい。むろん,AI使用部分は,そのつど明記する。

【参照】国旗の変更 ヒンズー教王国象徴としてのネパール国旗

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2024/01/03 @ 18:42