ネパール評論

ネパール研究会

民族州と「イスラム全国闘争同盟」結成

イスラム教徒は、「宗団」であり「民族」である。他民族・他宗団が「民族州」をつくるとなれば、ムスリムが宗団意識、民族意識を高め、結集し、「ムスリム州」を要求するのは当たり前である。

ムスリムは、タライやカトマンズに多いとはいえ、居住は全国に広がっており、非領域ムスリム州が最適だ。もしそれが無理なら、タライのムスリム住民の多い地域を「ムスリム州」にする。

そうした要求を新憲法に書き込ませるため、「イスラム全国闘争同盟」が結成された。同盟は、ムスリム権利闘争を展開し、もし実現しなければ「不退転の運動」を断行すると警告している。

これまで、ネパールのイスラム教徒は抑圧・差別されてきた。制憲議会にも、ムスリム議員は18人しかいないそうだ。「民族州」は、被抑圧ムスリムにとっては、アイデンティティを強化し、一致団結し、運動を始めるチャンスとなるであろう。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/05/02 @ 09:23