関西空港と国家の品格
関西空港を利用して,びっくり仰天。「美しい国」の「国家の品格」について,改めて考えさせられた。
関西空港については,以前,閑古鳥が鳴いていると,その惨状をご紹介したが,いまは様変わり,普通の空港なみにまで利用者が回復していた。理由の一つは,格安航空の参入であろう。見慣れない様々な航空会社が乗り入れ,そこそこ繁盛していた。もう一つは,安倍=黒田バブル経済で,はや人心が浮かれ,プチブル海外旅行が急増しているのだろう。
このように利用者増加は喜ばしいが,品格という点では,関空はいまいちだ。というか,いかにもエゲツない大阪の空港らしい,といった方が適切かもしれない。
関西空港ビルの3階中央に丸善書店がある。高尚な哲学新書でも買うつもりで行ってみると,通路側の一等地陳列台に,なんとエロチックな半裸女性を表紙に掲載したいわゆる「ピンク本」が,堂々と平積み販売されていた。
エゲツないエロ・グロは大阪の伝統文化だし,丸善がピンク本を売ってイケナイ理由もない。平積み販売であり,よく売れているのだろう。マンガの次はピンクだ。ピンクを世界に!
ピンク本は,日本国の,特に大阪の誇るべき伝統文化だが,関西空港の一流店舗街の表通りで売るには,相当の度胸がいる。2階にTsutayaがあるので,行ってみると,「成人向け」はあるにはあったが,奥の方の書棚に入れられ,表紙グラビアは一部しか見えないように工夫されていた。
丸善とTsutaya。センスの差がモロみえだ。重厚な洋書やバーバリ等の渋い舶来製品を扱っていたころの丸善,もはやその残り香すら感じられない。
関西空港は,れっきとした国際空港。他の国の国際空港において,このようなピンク本の表通り平積み販売の事例は,あるだろうか? 私が見た限りでは,ない。
「美しい国」の古き良き伝統は,浮世絵であり,混浴であり,庭先行水だ。外国客人をピンク本平積み販売で古都にお迎えする。「美しい国」の「国家の品格」とは,きっとこのようなものに違いない。
■丸善書店・関空店。矢印の先がピンク本平積み販売台(2013/4/20&23)
谷川昌幸(C)
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