ネパール評論

ネパール研究会

バブラム・バタライ,名誉職の不名誉な駆け引き

統一共産党毛派(UCPN-M)の副議長辞任を表明したバブラム・バタライが,党の名誉職(党長老)を引き受けてもよいと言っている。コングレスのSB・デウバとほぼ同様の地位。党序列2位ながら,党運営権限なし。

しかし,その一方,バタライは,議長と中央委員以外の役職・組織は廃止し,これにより党内対立を根絶せよ,とも要求している。もしこの提案通り党組織が改編されれば,副議長のNK・シュレスタや書記長のボガティは役職を失い,中央委員降格となる。自分は名誉職でいいよ,といいつつも,ちゃっかり計算している。ドロドロの党内権力闘争。

他方,マオイスト本家から分家したモハン・バイダ(キラン)CPN-M議長は,クルシード印外相訪ネ前夜に訪中し,親印派に親中を見せつけた。ところが,テレグラフ(7月17日)によれば,親印NCのスシル・コイララ議長は16日,楊厚蘭駐ネ中国大使と会談し,CA選挙に出るようバイダ議長を説得して欲しいと大使に頼んだのだそうだ。コイララ議長自身が,NEFINとの会合でこの話をしたというから,本当なのだろう。

親印のコングレス議長が,印とは犬猿の仲の中国の大使に,親中CPN-MのCA選挙参加説得を依頼する。内政干渉の依頼? 

と,かくもネパール諸政党は,政党政治の理念から遠ざかり,複雑怪奇なズブズブの権力闘争にはまり込んだ。その意味でも,CA選挙は注目される。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2013/07/18 @ 19:29