ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

ゴビンダ医師のハンスト闘争(33)

7.ハンスト:開始から終了まで
 (1)ジュムラでハンスト開始
 (2)体調悪化
 (3)ゴビンダ医師支持の拡大
 (4)カトマンズへの強制移送
 (5)カトマンズでのハンスト継続
 (6)人権団体等のKC支持声明
 (7)メディアの報道

(8)「9項目合意」成立・ハンスト終了
オリ政府は,KCハンスト支持運動の急拡大に押され,KC側との交渉を進め合意を急がざるをえなくなった。政府側交渉団はラジ・バラル教育省事務局長(代表)ら関係各省幹部,KC側はJ・チェットリ医師,S・バンダリ医師,OP・アルヤル弁護士,AR・シン弁護士,S・パンディNMA代表。交渉が始まると,重要局面ではオリ首相自身を含む双方の有力者らが,当然ながら,様々な形で交渉に関与した。(*82)

カトマンズでの最初の交渉は,7月24日,教育省で始まった。この時は,カトマンズ盆地内での医大10年間新設禁止と,1大学の連携医大開設認可5校以内の2項目を中心に交渉されたが,相手側への非難攻撃に終始し進展は全く見られなかった。(*82,83)

次の交渉は,7月26日,いよいよ切羽詰まって,場所は首相官邸,しかもオリ首相自身も出席した。街では,医師・看護師や医学生も参加したデモや集会,外来休診など,激しい抗議活動が続いている。議会では,NCの抵抗で,議事停止。(*84)

オリ政府は追い詰められ,ついに26日夕方,KC側要求をほぼ全面的に受け入れ,これを文書化した「9項目合意」に署名した。(合意項目数は,数え方により「22項目」とされることもある。)(*85)

この合意成立を受け,26日夜おそく,KCはハンスト終了を決め,訪れたKB・マテマやS・ネムワン元議長らから手渡されたジュースを飲んだ。こうして,27日間にも及ぶKC最長のハンストは,KC側のほぼ完勝という結果をもって終了したのである。(*85)

(9)「9項目合意」の概要(*86,87,88,89)
・議会提出済みの「医学教育法案」は22か所修正。
・カトマンズ盆地内での医大新設10年間禁止。
・盆地内医大新設認可取得済みの場合は,新設準備資産を政府に売却するか,もしくは盆地外の優先地域で新設。盆地外新設には優遇措置。
・カルナリ健康科学アカデミー(KAHS)にMBBS開設のための特別委員会設置。
・ジャナキ医科大の運営妨害責任者処分と早急な授業再開。
・各州に少なくとも1医大設置。
・国立(公立)医大入学定員の75%は奨学金付き。
・病院による医大併設には,3年以上の病院運営実績が必要。
・マンモハン記念大学[共産党系]の国有化。
・医学教育問題調査委員会(MEPB)が有責とした関係者を2か月以内に処分。
・大学や他の政府学術機関の役職員選任基準を定めるための委員会設置。

▼KC支持サティアグラハ参加アピールと勝利宣言:KC連帯FB(日付は日本時間)

*82 “Talks between Dr KC and govt begins,” Republica, July 24, 2018
*83 “Talks between govt and KC’s team fail to strike deal yet again,” Republica, July 25, 2018
*84 “National Assembly adjourned for a week after obstruction,” Republica, July 26, 2018
*85 “Govt, Dr KC finally agree on disputed point, seal 22-point deal,” Republica, July 26, 2018
*86 “Oli govt bows to Dr KC’s demands,” Republica, July 27, 2018
*87 “How challenging is implementing agreement with Dr KC?,” Republica, July 28, 2018
*88 Bishnu Prasad Aryal, “Sincerity seen as key to implementing deal with Dr KC,” Republica, July 28, 2018
*89 “Editorial: Implement agreements with Dr KC, in letter and spirit,” Republica, July 29, 2018

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2019/05/09 @ 15:06