ネパール評論

ネパール研究会

生成AI問答(3): ネパール国民は,ネパール国歌をどのように評価していますか?

国歌は,「国家」という権力的=暴力的=外面的なものと,「歌」という情緒的=内面的なものとが人為的に結び付けられたものだ。

近代以降,国家は,外面的に最強。他方,歌=音楽も,感情=情緒に訴えかける点で,最強と断言できなくとも,内面的にはきわめて強力であることに変わりはない。そのため,近現代国家は,特定の音楽を「国歌」として権威づけ,国家統合強化のため,硬軟様々な暴力装置を動員して,これを国民に強制してきた。

が,国歌も音楽の一つのはず。それの政治的強制に問題がないはずはない。

国家の歌である「国歌」に深刻な相克が内在していることは,少なくとも民主主義国では,多かれ少なかれ自覚されている。たとえば,アメリカは,国民統合のための国歌の重要性をよく知り,ことあるごとに国歌を演奏するが,だからこそ,その効果を知悉するがゆえに,権力による国歌強制は認めていない(最高裁判決)。さすが民主主義宗家,アメリカ!

国歌は,ことほど左様に有用であり危険であり,したがって扱いが難しい。では,この難問について,生成AIはどう考えているのであろうか? ネパール国歌を例にとり,質問してみた。

Bing回答は,ごく簡素。「具体的な評価は見つからなかった」と告白。もう少し調べてほしい気もするが,率直さには好感が持てる。

ChatGPT回答は,国歌に関する問題点の指摘はないものの,全体としては優等生のようなそつのない見事な記述。しかも,冒頭には「AI 言語モデルとして、すべてのネパール人を代表することはできませんが」といった,およそAIらしからぬーーむしろ人間っぽいーー前書きまで置かれている。スゴイ! グーグル自動翻訳も完璧だ。

*****<以下,生成AI回答>*****

[1] Bingの回答(質問&回答=日本語)
ネパール国歌は「国歌」と呼ばれ、2007年に新しく制定されました。作詞は詩人であるビャクル・マイラ氏です。ネパール国民は、この国歌を愛しているようですが、具体的な評価については見つかりませんでした。[典拠略]

[2] ChatGPTの回答(質問&回答=Google翻訳使用)
AI 言語モデルとして、すべてのネパール人を代表することはできませんが、一般的に、ネパールの国歌はネパール人から高く評価され、尊敬されています。ネパールの国歌は「Sayaun Thunga Phulka」と呼ばれ、2007年8月3日に国の公式国歌として採用されました。

国歌の作詞は、Byakul Maila としても知られる Pradeep Kumar Rai によって書かれ、音楽は Amber Gurung によって作曲されました。国歌は、ネパールの美しさと人々の勇気と犠牲をたたえる愛国的な賛美歌です。

ネパールの人々は、国歌を国民のアイデンティティと団結の象徴と考えています。公式行事、国家行事、国とその国民を称える公共の集まりで演奏されます。この国歌はまた、ネパールの人々が歴史の中で独立と主権を維持するために払ってきた犠牲と闘争を思い起こさせるものでもあります。

全体として、ネパールの国歌はネパールの人々に高く評価されており、国家の誇りとアイデンティティの象徴として心の中で特別な位置を占めています。

******<以上,生成AI回答>*****

230503ネパール国歌YouTube

【参照】
1 国歌の包摂民主主義化: イギリスとネパール
2 新国歌制定への疑問
3 権威と規律:学校と国家
4 オム・マニ・ペメ・フムとネパール国歌
5 国歌とナショナリズム 表意音楽評価の難しさ

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2023/05/03 @ 16:31

カテゴリー: ネパール, 音楽, 情報, 情報 IT, 憲法, 政治, 文化

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