ネパール評論 Nepal Review

ネパール研究会

Archive for 2月 2018

老老介護,事始め(2):「生物的余生」の悲哀

高齢の母の在宅介護を始めてすぐ痛切に感じられたのは,人間の「生物的余生」の悲哀である。あまりにも哀れで悲しく,直視にたえない。なぜ,こんな悲惨な余分の生が人間にはあるのか? 

1.現代の宿命としての認知症
物わかりの良い認知症専門家は,それは素人の偏見・誤解だ,認知症患者にもそれぞれの意思や幸福があり,それらを最大限尊重し生活させてやるのが家族の義務だと説教される。それはそうかもしれないが,そんなことができるなら,家族は悩み苦しみはしない。

むろん,認知症にも多種多様なものがあるのだろうし,発症や進行を防止したり遅らせたりできる場合もあるであろう。あるいは,発症・進行しても,それを受け入れ日常生活がそれなりに継続できるような家族や地域社会もありうるだろう。しかしながら,そうした可能性ないし希望を認めたうえでもなお,発症・進行を止められない場合が多数あると思われるし,また認知障害者を受容できる家族や地域社会も現実には多くはない。数世代同居ないし近住の大家族も,緊密な共同体的近隣社会――村的社会――も,もはやない。あるいは,共同体的見守り介護を行政に期待しても,財政的にも人材的にもそれは困難で,当面,多くは期待できそうにない。

もしこれが今の現実なら,少子高齢化社会に生きる私たちは,たとえ専門知識がなくても,痴呆や認知障害を家族の問題として,いや自分自身の問題として考え,覚悟しておかなければならない。

私にも生物学や医学の知識はないが,自分自身を納得させるための論点整理として,以下,母介護をしていて素人なりに思うことを書き留めておきたい。

2.生物的余生50年
植物や動物など生物は,子孫繁殖のために生命・身体を与えられている。生殖こそが生きる目的であり,その天命を全うすれば,自然界の生物は死んでいく。生殖終了後の余生は,無くはないが,長くはない。

人間も,近代化以前は,他の動物と同様,一般に「生物的余生」は短かった。人間の生殖可能年齢はせいぜい40代まで,それ以降は,生物的には無用で無意味。だから長らく人間も50代に入ると寿命が尽きる場合が多かった。俗にいう「人生50年」は,そのころの人々には生活の実感であったに違いない。まさしく天寿を全うし死んでいく。

ところが,近代化とともに栄養・衛生など生活環境が改善され,医学も発達し,人間は生殖可能年齢を過ぎても,なかなか死ななくなった。いまや「人生100年」,生物としての想定生存年数の2倍も長生きするようになったのだ。

しかしながら,人間も50歳を過ぎると耐用年数を超えた身体諸器官が次々と機能低下し,そのままでは生存が難しくなり始める。そこで人間は,栄養補給や服薬や機能回復手術などによって,ときには機能不全となった自分の器官を他人の中古器官や新品の人造器官と取り換えることによって,それを克服し,死を先へ先へと先延ばししてきた。「人生100年」は,その成果である。生物的余生50年!

3.高機能身体と機能不全脳
ところが,困ったことに,いまもって脳だけは,取り換えはおろか,修繕さえままならない。脳が耐用年数を過ぎ故障し始めると,多少の手当てはできるものの,他の器官のような大きな治療効果は期待できない。多くの場合,自然の成り行きに任せざるを得ない。

この脳は,人間にとって,人格形成の場であり精神活動の中枢である。人間は,その時々のバラバラの体験を脳で関係づけ経験化して記憶(保存)し,それに基づき自己の意思を形成し,それを実行に移す。コンピュータ(電脳)でいえば,CPU(中央演算装置)のようなもの。

その脳が耐用年数を過ぎ,あちこち故障し機能不全に陥り始めると,記憶の喪失や混乱が始まるのは避けがたい。その結果,一般常識(社会的記憶・規範)からすれば「異常」な,様々な逸脱行動が始まり,拡大・激化していく。

近代化以前だと,脳がこのような経年機能不全に陥っても,身体の方の耐用年数も大差なかったので,大きな社会問題とはならなかった。人間の生殖可能年齢以降の「生物的余生」は,あっても,一般には短かった。脳寿命は身体寿命――これが「人生50年」の現実であった。

ところが,いまや「人生100年」。脳機能不全の下での「生物的余生」は長く,いやでもその過ごし方を考えざるをえなくなった。しかも,栄養や衛生や医学の向上発達により,脳以外の諸器官の機能は高いまま長期間維持されていく。

脳も,他の器官と同様,一部または全部を中古または新品の脳と,いや一層のこと超高性能CPUと取り換えてしまえば,問題は解決するのだが,倫理という人間的な,あまりにも人間的な“こだわり”のため,当面,それは実現しそうにない。

4.認知症と生命倫理
高機能身体を機能不全脳で操縦し生きていく。さぞかし難しく,もどかしく,苦しく,つらいことであろう。介護者にとっても,高機能身体を暴走させ自他に危害を及ぼさせないように見守ることは,筆舌に尽くしがたい忍耐と献身が求められる苦行である。いずれも哀れで悲しく見るに堪えないというと,認知症専門家には叱られるだろうが,介護を始めたばかりの素人には,その思いはどうしても禁じ得ない。

これは,天命に背き自然を征服してきた人間への,現代における一種の天罰ではないだろうか? 人は何のために人を生かし続けるのか? 自明? そうでもあるまい。生命倫理にかかわる危険きわまりない問いだが,もはや見て見ぬふりをし,避けて通ることはできないであろう。技術的には無限の生存ですら可能とされそうな現代だからこそ。

【紹介】三好春樹・多賀洋子『認知症介護が楽になる本』講談社2014
ハウツー本のようなタイトルだが,内容は優れた介護ドキュメンタリ。著者・多賀さんの夫は,京都大学教授だったが,退職後,認知症が進行,73歳で亡くなった。著者は感情過多にも解釈過多にも走ることなく,事実に即して経過を描こうとされている。読みやすく,教えられることも多い。
 

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2018/02/20 at 16:43

カテゴリー: 社会, 人権

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ネパール連邦議会選挙:包摂民主主義の実証実験(3)

3.政党の本音は女性後回し
この表を見れば,各政党が女性候補を後回しにしたことは,一目瞭然。まず最初に投票される代議院小選挙区選挙では,当選165議員のうち,女性は6人だけ。三分の一ではない,たったの3%余なのだ! 各党とも男優先,女性差別丸出し。隠しようもない。隠そうともしない。本音丸出し,正直といえば正直だ。

参議院は,各州に最初から女性議席3が割り当てられているので,女性議員は当選議員の約38%。三分の一より少し多いのは,小選挙区男性優先をある程度考慮した結果でもあろう。(連邦議会各党議員の少なくとも三分の一は女性でなければならない。)

政党ごとに見ても,どの政党が特に男優先というわけではない。全政党が女性後回し。それでもひときわ目立つのが,大勝した「ネパール共産党-統一マルクス・レーニン派(UML)」で,代議院小選挙区では当選80人中,女性は2人(2.5%)だけ。その結果,最後の最後に割り当てられる代議院比例制議席は,割当41議席中の37議席(90%)が女性となった。むろん,UMLが自発的に女性を選んだわけではない。憲法の明文規定により,イヤでもそうせざるを得ないのだ。これが,マルクス・レーニン主義を党是とし,農民・労働者のために闘う人民の党の実態である。

「ネパール共産党―マオイストセンター(CPN-MC)」,「ネパール会議派(NC)」など他党も,男性優先では,UMLと大差ない。包摂民主主義を唱えながら,その第一歩といってよい,最も明確な女性の包摂ですら,現実政治の場では敬遠され,あるいは忌避されている。ネパールの政界がまだまだ男社会であり,男性優先が本音であることは隠しようもない。

といっても,そこは建前第一の形式主義の国ネパール,連邦議会(代議院と参議院)全体の各党別女性議員比率をみると,UML33.8%,MC33.8%,NC34.2%,RJP-N36.8%,FSF-N33.3%となっている。5つの国政政党のすべてが,憲法規定の女性議員三分の一の下限にピッタリ合わせている。お見事!


■UML会場雛壇は男性ばかり(UMLホームページ)

4.女性議席割当制の政治的意義
しかしながら,そうはいっても,いやまさにそうした男優先政界の現実があるからこそ,ネパール連邦議会全体でとにもかくにも女性議員三分の一を実現したことは,大きな前進であり,高く評価できる。

日本と比較してみると,その先進性は歴然。日本は,国会全体で女性議員13.1%,世界191か国中の第142位(2017年1月1日現在)。また,衆議院の女性議員は9.3%で,世界193か国下院中の第164位(2017年6月1日現在)。日本は,女性政治参加では後進国,ネパールの足元にも及ばない。頭を垂れ,先進国ネパールから謙虚に学ぶべきだ。

包摂民主主義は,繰り返し指摘してきたように,たしかに複雑で難しく,コストもかかる。しかしながら,たとえそうであっても,それが現代社会における参加・代表の公平の実現には最も有効な実効的手段の一つであることに間違いはない。

ネパールはいま,その大いなる包摂民主主義の政治的実験に取り組んでいるといってもよい。なによりもネパール自身のために,そしてまた多文化社会化せざるをえない日本のためにも,その成功を願っている。

谷川昌幸(C)

ネパール連邦議会選挙:包摂民主主義の実証実験(2)

2.連邦議会選挙の開票結果
 ・代議院(下院)=小選挙区制投票日:2017年11月26日/12月7日
          比例制(全国1区)各党への議席割当:2018年2月10日
 ・参議院(上院)=投票日:2018年2月7日
          政府推薦に基づく大統領指名:未指名

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2018/02/15 at 17:22

ネパール連邦議会選挙:包摂民主主義の実証実験(1)

ネパール連邦議会選挙の結果が,ほぼ出そろった。参議院(上院)の大統領指名議席など,まだ未確定の部分もあるが,選挙の大勢は,下表のとおりほぼ判明したといってよい。

1.包摂民主主義の実証実験
今回の連邦議会選挙は,憲法ないし国制(संविधान, constitution)の観点から見るならば,2015年憲法の根本理念たる「包摂民主主義(समावेशी लोकतत्र, inclusive democracy)」(憲法前文&4条)を,社会諸集団への議席割当(クォータ)により,まずは制度的に――形式的・強制的に――実現するための初の国政選挙である。いわば,包摂民主主義の実証実験。

この包摂民主主義の実証実験は,ネパール自身はむろんのこと,多文化化・多民族化が進む他の諸国にとっても,あるいは「一民族一文化」にこだわり続ける包摂民主主義後進国の日本にとっては特に,重要な意味をもちうる興味深い政治的試みである。

しかしながら,多種多様な社会諸集団の「比例的包摂(समानुपातिक समावेशी)」(憲法前文)を目標とする包摂民主主義は,諸集団の利害が錯綜し,制度が複雑化し,コストがかかり,運用が難しい。そのような高度な制度を,ネパールは本当に使いこなせるのか? 世界が注目している。

そこで,以下では,「比例的包摂」の基本中の基本たる女性の包摂が,今回の連邦議会選挙において,どのように具体化されたのかを見てみることにする。ネパールにおける包摂民主主義の初の本格的な実証実験が,どこまで成功したのか?


 ■民族/カースト分布地図(トリブバン大学社会人類学部, 2014)。社会諸集団包摂のため,この種の集団同定資料が,多くの場合国際機関や先進諸国の支援を得て,多数出版されてきた。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2018/02/14 at 17:56

比例は女性特待議席か?(2)

3.女性特待の比例制選出議席
選挙で女性が後回しにされる現実は,選挙経過をみるとすでに明らかである。2017年選挙の結果は,上院選がまだこれからで(2月7日投票),下院比例制当選者も未発表なので,すべて判明しているわけではないが,それでも各メディアの報道を見ると全体の傾向は十分にうかがい知ることができる。(報道数字のばらつきは選挙結果確定後,修正する。)

(1)小選挙区は男性,比例は女性
代議院(定員275)選挙では,小選挙区(165)で当選した女性は6人(3.6%)だけ。その結果,比例制の方は,議席110のうち85議席(77%)以上を女性とせざるをえない。これで代議院議員の三分の一を何とか女性とすることができる。(*1)

それでも女性議員三分の一が達成できなければ,参議院(上院)の女性議員比率を高め,連邦議会全体として女性三分の一を実現しなければならない。いわば奥の手,はたして繰り出されるか?

州議会選挙(7州総定数550)では,小選挙区(330)で当選した女性は18人(総定数の3.3%)だけ。その結果,比例制(220)の方は164議席(75%)以上を女性とせざるをえない。これでようやく女性三分の一に達する(*1)。

以上は,むろん連邦議会や州議会をそれぞれ全体としてみた場合であって,実際には連邦議会では各党ごとに,また州議会では各州ごとに加え各党ごとに,女性議員三分の一以上を達成しなければならない。これは大変!

(2)男性最優先の統一共産党
選挙における女性後回しが特に顕著なのが,民主的なはずの「ネパール共産党‐統一マルクス・レーニン主義派(統一共産党:UML)」。

UMLは下院小選挙区制で大勝したが,そのため皮肉なことに他党以上に男性優先が際立つことになった。州議会小選挙区制でもほぼ同じ。各メディアが報道している具体例を,未確定の途中経過もあるが,いくつか紹介すると,以下の通り。
・下院小選挙区制への立候補者は,総数1742,そのうち女性126(7.2%)。左派連合(UML,マオイストなど)は女性9(12%以下),コングレス連合は7(9%以下)。主要3党は女性候補が極めて少ない。(*2,3)
・UMLの下院小選挙区制当選76人中,女性はなんと2人だけ。そのため比例制候補者(40名余)の大半を女性とせざるをえなかった。(*1,6)[UML最終確定議席は小選挙区制80,比例制41となった。]
・第6州では,下院選挙でも州議会選挙でもUMLの女性候補はゼロだった。UML女性幹部ミナ・ラカール「わが党は,私の働きを評価しなかった。指導者の多くは縁故やコネで選ばれてきた。」(*4)
・UMLは,第6州議会選挙小選挙区(24)において14人当選したが,全員男性。そのため比例制は女性候補のみとなった。(*1,5)

■州議会比例制UML当選者 第3州/第6州(選管HP)

*1 “PRo-women,” Nepali Times, 15-21 Dec 2017, #888
*2 “7 pc women FPTP candidates for parliament,” Republica, Nov 4, 2017
*3 “No female Muslim FPTP candidate in Province 1 Elections 2017,” Kathmandu Post, 2017-11-10
*4 “No women candidates in Province 6 for FPTP vote,” Kathmandu Post, 2017-11-05
*5 “Left alliance picks female candidates only,” Himalayan, Dec 30, 2017
*6 “UML may have to elect all women candidates under PR,” Himalayan, Dec 12, 2017

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2018/02/07 at 16:39

比例は女性特待議席か?(1)

ネパールは,包摂民主主義の理念に基づき社会諸集団(アイデンティティ諸集団)の政治参加の公平を実現するため,選挙においても,精緻なクォータ制(議席割当制)を採用した。欧米を中心とする国際社会の全面的支援の下,当事者諸集団の様々な意見や要求を聞き,合理的に設計され法制化されたネパールの現行選挙制度は,世界最高水準のものといっても過言ではあるまい。

しかしながら,選挙制度は,社会諸集団のそれぞれの要求に応えようとすればするほど複雑化し,運用が難しくなり,コストも増大する。ネパールの選挙制度がまさにその典型。はたしてネパールは,そのあまりにも理想主義的な選挙制度を実際に運用し,世界に包摂民主主義の範を示すことができるのだろうか?

ネパールの議席クォータ制(議席割当制)は様々な社会諸集団について適用されるが,割当の相互関係をすべて説明することは変数が多すぎ極めて困難なので,以下では,最も基本的で明確な男女議席割当制について,2017年連邦議会選挙/州議会選挙を具体的事例として取り上げ,その運用がどうなっているのか見ていくことにする。

1.女性議席割当,三分の一
女性への割当議席は,連邦議会でも州議会でも,原則として三分の一である。現行2015年憲法は,次のように定めている。

(1)連邦議会の女性議席割当
憲法第8部 連邦議会[立法部](संघिय व्यवस्थापिका)
第83条 連邦議会は,代議院[下院](प्रतिनिधी सभा)と参議院[国家院,下院](राष्ट्रिय सभ)から構成される。
第84条 代議院[下院]
 ・議員定数は275。小選挙区制選出165,比例制選出110。
 ・比例制は全国1区で,政党に投票。
 ・政党は,下記社会諸集団ごとに比例代表を実現できるように候補者を選出。
  「女性」,「ダリット」,「アディバシ・ジャナジャーティ」,「カス・アーリア(チェトリ,ブラーマン,タクリ,サンヤシ[ダスナミ]」,「マデシ」,「タルー」,「ムスリム」,「後進地域」。
  *上記に加え,「障害者」へも議席割当(詳細法令規定か?)。
 ・ただし,「連邦議会の政党それぞれの全議員の少なくとも三分の一は,女性でなければならない。」
第86条 参議院[上院]
 ・議員定数は59。
 ・56議席は7州がそれぞれ8議席選出。選出方法は,州議会議員,町村長,副町村長,市長,副市長からなる選挙人団による選挙。各州の8議席のうち,少なくとも女性3,ダリット1,障害者または少数者集団所属1。
 ・他の3議席は政府推薦に基づき大統領が指名。1名以上女性。
 ・全議席のうち三分の一ずつ,2年ごとに改選。
 ・[(第84条)ただし,「連邦議会の政党それぞれの全議員の少なくとも三分の一は,女性でなければならない。」]

以上が,憲法の定める連邦議会(上院・下院)議員の選出方法である。きわめて複雑で,関係法令も見ないとはっきりしない部分が残るが,女性議席割当については,基本的な仕組みはこれで理解できる。

大原則は,女性議席割当は三分の一ということ。その憲法原則の理念に基づき解釈するなら,各政党は,女性議員三分の一以上を実現するため,次のように努力しなければならないことになる。
 1)まず,各政党は,下院小選挙区選出女性議員が三分の一以上となるように努力すること。
 2)次に,下院比例制では,各党は下院における女性の比例的代表実現に努力すること。
 3)そして,上院議員選挙では,各党は,下院議員を含め連邦議会議員の三分の一以上が女性となるようにしなければならない。これは,憲法84(8)条が規定する各党の義務である。

(2)州議会の女性議席割当
州立法部(प्रदेश व्यवस्थपिका)は 一院制の州議会(प्रदेश सभा)だが,女性への議席割当は基本的には連邦議会と同じ(憲法第14部参照)。

州議会の議員定数は,その州の連邦議会代議院(下院)小選挙区選出議席の2倍。60%を小選挙区から,残りの40%を比例制により選出する。各党は,小選挙区で女性議員が三分の一以上に達しない場合,比例制により女性議員の不足分を充足しなければならない。

2.議席の男性先取り,女性後回し
以上のように,ネパールの女性議席割当制は極めて精緻で先進的なものだが,これを現実政治に適用すると,制度を設計した理想主義者たちには思いもよらなかったような皮肉な結果をもたらすことになりつつある。女性議席割当制は現実には多段階選考となり,男性優先,女性は後回しにされているのだ。

そして,その結果,議席(議員)の重みについても,連邦議会においては下院小選挙区選出議席⇒下院比例区選出議席⇒上院議席,また州議会においても小選挙区選出議席⇒比例制選出議席といった序列が,候補者選考など現実政治の場では何となく感じられ始めたのだ。

■州議会第1州比例制UML当選者は全員女性(選管HP)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2018/02/06 at 15:37

老老介護,事始め(1)

昨年末,高齢の母を呼び寄せ,自宅で世話を始めた。高齢者の世話ないし介護については,様々な手引きや解説書あるいは体験記が多数出ており,その大変さは十分理解していたつもりだったが,いざ実際に介護を始めると,そんな頭での理解は畳の上の水練,屁の突っ張りにもならないことをすぐ思い知らされた。まだほんの一か月ほどなのに,早や疲労困憊,あがけばあがくほど無間地獄に引き込まれていくような恐怖と絶望にさいなまれている。

そもそも介護者の私自身からして,すでに70歳を超えた老人,体力,気力の衰えは如何ともしがたい。老人を老人が介護する「老人の老人による老人のための介護」,すなわち「老老介護」だ。

この「老老介護」の問題は,一方における日本社会の高齢化,少子化,核家族化の進行と,他方における老人公的介護削減とセットの老人在宅介護促進の政策により,今後さらに急速に深刻化していくことは間違いない。

私が始めたばかりの母介護は,この日本社会の老老介護のほんの一例に過ぎない。もとより私は老人介護については全くの初心者。これから先どうなるやら,まるで見通せない。それでも日々の試行錯誤の実体験をメモし,まとめ,少しずつ文章化していけば,主観的な体験を反省し,それを客観的な経験へと変えていくことができるであろう。

なによりも恐怖と絶望と怒りの介護無間地獄に転落しそうな自分自身を,体験の文章化により少しでも対象化し,自己を自己の外から客観的に観察し,評価し,そうすることによって冷静さをできるだけ取り戻し,介護に立ち戻ることができるようにするために。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2018/02/02 at 16:10

カテゴリー: 社会, 人権

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