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ジリ貧新聞の校正不足
部数減でジリ貧の新聞に,このところ木材パルプ浪費・自然環境破壊の巨大全面広告が増加しているのに加え,伝統的な言語文化環境の破壊と思われるような記事も目立ち始めた。
たとえば,この新聞の1面トップ記事。これを目にしたとたん,どこか居心地の悪いような,むずかゆいような,感じがするのを禁じえない。政官財界の英語帝国主義拝跪の時流に棹さすなら,いっそのこと,こう校正すべきではないか?
むろん,以上は,あくまでも日本語表記の問題であって,記事内容にかかわることでは一切ない。念のため。(参照:英語帝国主義)
【追補】3月25日付朝日新聞朝刊の場合,大阪本社兵庫版は,全28頁のうち8頁が全面広告。これらに加え,紙面下部1/3~1/5程度の広告もほぼ全頁に掲載されている。まるで広告を購読しているみたいだ。
ちなみに,東京本社ネットビューアー版では,全24頁のうち全面広告は4頁のみ。環境保護と精神衛生のため,宅配新聞はやめ,ネット版に切り替えた方がよいかもしれない。
ネット版は,PDFなので目に優しく,読みやすい。印刷すれば,紙面は宅配版とほぼ同じで,しかも広告面は自在にカットできる。
さらに加えて,購読料も,宅配より,実質的には,はるかに安い。宅配新聞は,存在意義を失いつつある。
【追補2】朝日4月1日朝刊は,全26頁のうち5頁が全面広告。特に,新聞広告としてスゴイのが,この見開き2頁全面広告。衝撃的!
谷川昌幸(C)
文化災害:朝のシェイクアウトで右往左往
今朝,スマホがケタタマシク鳴ったので,何事かと驚き画面を見ると,「シェイクアウト」緊急警報であった。えっ!!, シェイクアウト・・・・⁇
驚いて,手元の電子辞書(十数年前購入)を引いてみると,「大辞林」には,この語は無し。「ウィズダム英和」では―
「shakeout = 株価暴落,大改変」
そうか,株暴落の緊急警報か,これは大変だ,とビックリし,あわててネットを見ると,株など,暴落してはいない。むしろ,バブル以来の高値,絶好調だ。
変だなぁと思って,スマホ画面をよく見ると,この緊急警報は,阪神淡路大震災記念日(1月17日)に合わせた防災訓練の一環であった。
むろん,震災記念日に避難訓練をするのは,効果的だ。が,避難訓練であれば,誰でもスグ,それと判るような,平易な言葉で警報を出すべきではないか? それなのに,少しばかり古いとはいえ,辞書にも載っていないようなカタカナ用語でーー
シェイクアウト! シェイクアウト!
と絶叫する。が,こんな,わけが分からん舶来カタカナ語では,訓練にも何にもならない。このような「人為的な文化劣化による文化災害」を防止しなければ,人為では如何ともしがたい多くの自然災害に効果的に備えることもまた難しくなる。
文化災害を防止し,自然災害に備えよ!
谷川昌幸(C)
環境破壊の環境省広告
今朝の新聞の全面広告にビックリ仰天!「デコ活でくらしのエロがけ」とは,いったい全体どういうことだ。また成金企業が下品なお騒がせ広告をぶちかましているのかな,と。が,よく見ると文面は下図のようになっていた。
広告主は環境省デコ活応援隊。その応援隊が,森林を減らしCO2を増やすにほかならない新聞紙の1面全部を使って,豪華総天然色印刷で,「CO2を減らす環境にやさしいアクション」としての「デコ活」を呼びかけていたのだ。まるで,マンガ!
が,それにもまして,「デコ活」で「エコろがけ」とは,言語的に,あまりにもヒドイ! 自然環境以前に,これは日本の文化環境の破壊と断ぜざるをえない。それを環境省が呼びかけている。
貧すれば鈍する。文化的にも,日本はもうダメだな。
【参照】
*「使える英語」とカタカナ英語:リスキリングのリスク
* 安倍首相の国連演説とカタカナ英語の綾
* 愛国者必読: 施光恒『英語化は愚民化』
* 書評:水村美苗『日本語が亡びるとき』
谷川昌幸(C)
「使える英語」とカタカナ英語:リスキリングのリスク(1)
1.岸田首相「リスキング」答弁,炎上
岸田首相が1月27日の参院本会議で,「この[産休・育休]間にリスキリングによって一定のスキルを見つけたり学位を取ったりする方々を支援する」と答弁した。たちまち,巷では非難ごうごう,大炎上!
私も,この答弁をテレビニュースで聞いて,「まさか!」と,ビックリ仰天した。リ(re繰り返し)キリング(killing殺すこと)による一定のスキル(skill技能)の習得を支援するとは,いったい全体どういうことだ。軍事費倍増の前に,殺人の繰り返しよる殺人技能の開発を図るということか!?
まさかと思って新聞でよくよく確かめると,「re」と「killing」の間に,ちっぽけな無声子音「s」が入っていた。たった1字だけ!
しかも,日本人にとって,「リ(re)」と「キル(kill)」は比較的自然に聞き取り発音できるが,その間に「s」が入り「リsキリング」となると,日本語になじまず,聞き取りも発音も難しい。まったく日本語らしくない! 日本人の私が,「s」を聞き損ね,「リキリング(繰り返し殺すこと)」と聞き取ったのは,きわめて自然な,当然至極のことなのである。
それでは,岸田首相は,日本国民の代表たる議員の,そのまた代表として,国権の最高機関たる議会において,なぜ主権者たる国民の多くにとって聞き取りづらく,たとえ聞き取っても外来語辞書を引かねば意味がよくわからないような,珍奇なカタカナ英語を使ったのか? 演説内容以前に,日本国の首相としては,失格ではないか?
不可解に思い,改めて岸田首相の国会演説(2022/10/03)そのものを読んでみた。すると,驚いたことに,耳慣れないカタカナ英語やローマ字略語が,おびただしく使用されていた。たとえばーー
インバウンド,イベント,メリット,スキル,リスキリング,サイクル,パッケージ,フリーランス,イノベーション,スタートアップ,GX ,DX,エコシステム,グリーン・トランスフォーメーション,ロードマップ,カーボンプライシング,トランジッション・ファイナンス,アジア・ゼロエミッション,Digi田(デジでん),NFT,Beyond5G・・・・
なんとも凄まじい演説。とりわけ「Digi田(デジでん)」には,目が点! いったいこれは何語で,その意味は何なのか? 興味と暇のある方は,内閣官房デジタル田園都市国家構想実現会議事務局HPをご覧いただきたい。
こうしたカタカナ英語やローマ字略語の乱用は,むろん岸田首相に限られたことではない。他の政財官有力者たちも,競ってカタカナ英語やローマ字略語を使用している。一体全体,日本人が日本人を相手にしているにもかかわらず,なぜなのか?
直接聞き質したわけではないが,おそらくそれは,富国強兵には世界共通語たる英語が不可欠だが,下々にはペラペラ英語は今は無理なので当面はカタカナ英語とローマ字略語で下準備をする,といったことを彼らが多かれ少なかれ考えているからに違いない。
彼らは,英語は「世界共通語」だ,だから世界で戦うには「使える」実用英語をマスター(習得)しなければならない,と信じて疑わないらしい。
が,しかし,本当にそうだろうか? 実用英語やカタカナ英語あるいはローマ字略語の普及で日本経済は再活性化し,社会は発展,文化も高まるであろうか?
【参照】「リスキリング」の言い直し,「学び直し」(追加2023/03/19)
・「産休・育休中のリスキリング(学び直し)」毎日新聞,2023/01/30
・「育休中に学び直し」朝日新聞素粒子,2023/03/18
・「育休中の「学び直し」を勧めるトンチンカン」Globe,2023/02/09
谷川昌幸(c)
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