ネパール評論

ネパール研究会

TIA空港,インド管理へ?

ネパール政府は,トリブバン国際空港(TIA)の管理・運営をインドの会社に委託する計画という(Republica, 4 Jul)。委託先とされるのは,IL&FS。インフラ開発・金融などの大手であり,日本のオリックスも1/4の大株主(2011年度)。日本も無関係ではない。

 ■IL&FS

トリブバン空港については,以前から治安を理由にインドがしばしば介入した。この管理・委託計画については非難囂々で頓挫の可能性大だが,もし実現すれば,インドはネパールの首根っ子(首都空港)を押さえることになる。

人民戦争終結後,インドは中国の後塵を拝してきた。ラサ-カトマンズ-ルンビニ鉄道計画,ルンビニ国際空港計画,ポカラ国際空港計画,西セティダム計画等々。しかし,もしTIA管理・運営受託となれば,一気に形勢逆転となる。

ネパール政治は,印中米英,そして日本まで絡み,複雑だ。民主化支援,憲法制定支援など,内政干渉そのものだ。外国介入により混乱が続けば,最近とみにお元気な元国王の復権でさえ十分に考えられるだろう。

【参照】
2012/03/27 西セティ・ダム,さらに紛糾
2012/03/20 西セティ・ダム建設,紛糾
2012/01/18 「ネパール=中国友好年」と「ルンビニ観光年」
2011/10/26 プラチャンダのルンビニ開発とバブラムのBIPPA,または中印覇権競争
*ルンビニ開発については,検索「ルンビニ

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2012/07/04 @ 17:25

カテゴリー: インド, 中国

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