ネパール評論

ネパール研究会

Archive for 7月 2017

イタリアの旅(11):フェレ谷の花々

モンブラン(モンテビアンコ)に向かって右側の渓谷がフェレ谷。クールマイユールからフェレ谷奥終点までバスで40分ほどだが,勾配が緩いので距離はベニ谷よりもかなり長い。このフェレ谷は,モンブランとグランドジョラスを近距離から望めるので,ベニ谷に勝るとも劣らないほど迫力があり魅力的だ。今回は3回に分け,3日間かけ歩いた。

初日は曇天だったので,バスで終点のアルヌーバまで行き,そこから谷底のコースをPrasecまで下った。コースの左右いたるところに,黄,赤,青,紫,白など様々な花々が咲き乱れ,いわばアルプス版「桃源郷」といったところ。

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2017/07/31 at 14:01

イタリアの旅(10):子連れでベニ谷トレッキング

モンブラン(モンテビアンコ)~グランドジョラスのイタリア側には深い渓谷があり,奥までバス路線が伸びている。高地だから天候急変,体調悪化,ケガなどへの対応は考えておくべきだが,それらさえ忘れなければ,ここは誰にでも気軽に本格的なアルプストレッキングを楽しむことができる絶好の渓谷だ。

モンブランに向かって左側が,ベニ谷。クールマイユールからバス30分位で終点のラ・ビサイユ。ここから渓谷沿いを登る。道端にはアルプスの花々が咲き乱れ,谷奥にはモンブランの並びの高山や氷河が見え隠れする。

ぶらぶら1~2時間も登ると,コンバル小屋。ここで小休止し,さらに少し登ると,岩ゴロゴロの急峻なガレ場となる。慎重に身体を確保しつつ20分余登ると,眼前に氷河(Miage氷河?)の端が一気に迫ってくる。さすがアルプス,すごい迫力だ。

ここで驚いたのは,ガレ場の上にまで小さな子供連れの家族がかなり来ていたこと。様々な危険は十分承知の上で,自己責任の下,子供たちを連れてきているのだろう。大人の文化だ。


 ▲ベニ谷最奥バス停前の茶店/ベニ谷の花々


 ▲渓谷・高山・登山者/アルプスの花と山


 ▲コンバル湿原/コンバル小屋/小屋内より


 ▲コンバル小屋上のガレ場に迫る氷河

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2017/07/30 at 16:06

イタリアの旅(9):車は私有から共用へ

ミラノ・マルペンサ空港からバスでミラノ中央駅に着いてすぐ目についたのが,自動車や自転車の共同利用(シェアリング)施設。世界一美しいとされる駅舎もすごいが,それ以上に驚いたのがこの車共用(カーシェアリング)の普及だった。日本では当然の常識として疑いもしなかった私有前提の車社会――それがいよいよ転機を迎えたのではないか?

もとより予備知識は何もなく,しかも都市部にいたのはほんの数日だったから,その間街で偶然目にしたものにすぎないが,それでも様々な形態の共用施設があちこちにあった。

移動手段としての車や自転車の私有は,家庭の事情や業務などで特に必要な人を除けば,たしかに不合理・不経済だ。欧州では,国家や自治体がそれら,特にエコ電気自動車の共用(シェアリング)を支援し普及を図っているという。

自転車はもとより,車であっても電動式になれば,維持は容易,世界中で今後,急速に普及していくのではないか。日本ももちろん,例外ではあるまい。

●車の共用(カーシェアリング)

 ▲ミラノ中央駅前


 ▲トリノ

●自転車の共用

 ▲ミラノ中央駅前/使用方法図解


 ▲トリノ/設置場所等案内

●古代ローマ遺跡・路面電車・共用車(ミラノ)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2017/07/26 at 11:32

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イタリアの旅(8):軽三輪の風格

伝統と革新の国イタリアでは,自動車も新型車に伍して旧型車が頑張っている。特に懐かしく印象的であったのが,軽三輪(小型三輪)。日本のかつての名車ミゼット(ダイハツ)そっくりの車が,現役で走り回っている。

アルプス山麓のアオスタ谷では,写真には撮り損ねたが,古い古~い,2サイクルエンジンの軽三輪が細い農道を登っていった。もう少し新しい軽三輪だと,荷物配達,清掃作業などに,あちこちで使用されていた。

ミラノでは,おそらく伝統的デザインの面白さを意識したのであろう,スフォルツァ城の中庭に,シェイクスピアをもじったイラスト付きの軽三輪を停めていた。

古いものは,生活の場で使われているのを見ると,なおさら懐かしさがつのる。農作業用荷車や,山小屋への荷揚げに今なお使われている役馬のように。

●軽三輪

 ▲クールマイユール/La Saxe


 ▲コーニュ/アオスタ

●ミラノ「スフォルツァ城」中庭の軽三輪

●荷車
▲フィレ谷

●「ベルトーネ小屋(1977m)」への荷揚げ

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2017/07/25 at 19:48

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イタリアの旅(7):カトリック教会の遍在

イタリアはカトリック教会の地元だけに,教会がいたるところにあり,だれでも入って祈ったり見学したりできる。有名教会でなくても,優れた彫刻や絵画があちこちにある。ときにはパイプオルガンが演奏されていることもあり,これはまさしく天上からの音楽,しばし時のすぎるのを忘れるほどだ。

むろん異教徒にとって,カトリック教会関係の事物には戸惑うことも少なくない。たとえば,ミラノ大聖堂(ドゥオーモ)の「聖バルトロマイ」。皮剥ぎ刑に処せられた身体の,あまりのリアルさにゾォーとする。

またトリノの教会(名称失念)の「悲しみの聖母」。胸に矢が7本も刺さっている。直視に堪えない。

アルプス地方に行くと,山の中腹や山頂に十字架が立てられている。たとえばアオスタのPunta Vallettaz中腹(2300m)には,十字架のイエス像があるが,これまたあまりにもリアル。一帯は広大なスキー場で,冬はスキー,夏にはハイキング,マウンテンバイク(専用コース多数),トレイルランニングなどが盛んにおこなわれている。それらと十字架のイエス,異教徒には違和感を禁じ得ない。

アルプス地方にはまた,小屋根付きの十字架のイエス像があちこちにある。これも,出会うたびにドキッとし緊張する。

一方,村の出入口や山道の脇にある聖母の祠は,日本のお地蔵さんのような感じ。ほほえましく,異教徒にも違和感はあまり感じられない。

そして,墓地。永遠の平和(pax)の地であり,立派な墓が多く,どこも花いっぱい,美しく維持管理されていた。生活はなお信仰に根付いているようだ。


 ▲聖バルトロマイ/ミラノ大聖堂


 ▲悲しみの聖母(トリノ)


 ▲十字架のイエス(アオスタ)


 ▲小屋根付き十字架[左右は別の十字架」(クールマイユール)


 ▲聖母の祠[左端](コーニュ)


 ▲墓地(クールマイユール)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2017/07/24 at 17:56

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イタリアの旅(6):印象的な街の造形

イタリアはいうまでもなく古い伝統を持つ芸術の国,審美眼の乏しい私でさえ思わず立ち止まり見入るようなものが街のあちこちにあった。

といっても,特に計画し街を歩いたわけではない。アルプス山麓に行く前後にミラノとトリノに立ち寄り,ついでに街に出たに過ぎない。しかも日中は大変な猛暑,日陰に入ったり,あちこちの教会に入ったりして休んだので,歩いたのはわずか。それでも,こんなものに出くわした。

これらはいずれも,特別なものではなく街にたくさんあるものの一つであろう。それがそれぞれ印象的だということに感心した。なお,最後の自動車宣伝は,クールマイユールのもの。たしかに「伝統破壊」ではある(参照:イタリアの旅(1): 規則は知ってから破れ)。

●街の造形(ミラノ)

●街のポスター

 ▼ミラノ:ピッコロ座/ミラノ: GAN MANZONI

▼トリノ:ビバルディ展

●店舗/地下鉄ポスター

 ▼トリノ:ロリポップ/ミラノ:「共和国」駅のペット食品広告

●らくがき?(ミラノ)
▼交差点機器箱のイラスト

●景観独占(クールマイユール)
▼モンテビアンコ(モンブラン)を背に宣伝

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2017/07/23 at 19:30

カテゴリー: 社会, 文化, 旅行

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イタリアの旅(5):神をもカメラ監視

イタリア北部は比較的治安が良いとされ,事実,ミラノで多少用心したものの,トリノではほとんど不安を感じなかったし,ましてやアルプス山麓のアオスタ谷ともなると平和そのものだった。

しかしこれは,顕在的警備の成果かもしれない。都市では,軍隊や警察が,要所要所で,その存在を顕示する形で警備していたし,地方の町や村でも警官の姿をよく見かけた。

こうした顕在的警備の典型が,監視カメラ。空港,駅,道路,広場などはむろんのこと,地下鉄車内や田舎の農作業小屋前などにも設置されている。

いや,それどころか,教会にすら監視カメラがあった。いまや全知全能のはずの神をもカメラで監視せざるをえない時代となったのだ。いやはや何ともバチ当りな,恐れ多いことではないか!


 ▼ミラノ中央駅前:銃を構え24時間警備

▼ミラノ大聖堂(ドゥオーモ)


 ▼クールマイユール:後方はモンテビアンコ(モンブラン)(監視カメラ)


 ▼クールマイユール古道/Saxe村はずれ(監視カメラ)


 ▼トリノ: 教会入口扉の掲示「ビデオカメラ監視区域」


 ▼トリノの街角

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2017/07/22 at 17:44

カテゴリー: 社会, 情報 IT, 旅行

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イタリアの旅(4):英語はしゃべらない

イタリア北部では,英語はほとんど通用しなかった(南部不明)。日本以上!! 

観光地のアオスタ地方で切符を買おうとしたが,駅窓口係も路線バス運転手(兼切符販売)も,一言も,料金の数字でさえ,英語は口にしなかった。もちろん英語で説明してくれる係員もいるにはいたが,多くはない。ここでは英語は通用しないと覚悟した。

イタリアは多言語社会だし,英語は小学校から学んでいる。だから少なくとも日本人と同程度,あるいはそれ以上に英語力はあるはず。それなのに頑として,しゃべらない。外国人が多く宿泊するホテルでも,テレビチャンネルは何百もあるのに,英語はBBCとCNNくらい。それらも,1,2チャンネルからはるかに遠い400チャンネルあたりに隠されている。

これらのことは偶然とは思われない。英語は,少なくとも日本人程度には話せるのに話さない,使えるのに使わない。日本のように,国家元首たる首相までも,公式の場ですら,へらへらかつての敵性言語たる英語をしゃべり,英語帝国主義に自らこび,へつらうのとは対照的。さすが文化の国イタリアだ。

旅行者が旅行先の文化を尊重するのは当たり前。旅先でのことなど,身振り・手ぶりや数字・地図筆記などで,たいてい用は足りる。外人客のためにカタコト英語を話す必要など,さらさらないのだ。


 ▼トリノ:ポー河畔交差点/分別式ごみ箱

▼クールマイユール:トレッキングルート案内板

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2017/07/20 at 20:22

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イタリアの旅(3):文化としての喫煙

イタリア(北部)は,お隣のオーストリア同様,タバコ天国。ホテル,レストランなどでは喫わないようだが,広場,道路,駅などでは多くの人が喫っている。しかも,女性が目に付く。歩きタバコも平気。

タバコが健康に悪いことは,百も承知の上だろう。そこが,タバコ天国から一転,タバコ禁止原理主義に転向した心情的同調社会,日本との違いだ。

文化は健康に悪い。健康より文化ということか。

 ●ミラノ中央駅

 ▼改札口/発車時刻案内板


 ▼プラットホームの吸殻入


 ▼プラットホームの吸殻入(?)

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2017/07/18 at 10:01

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イタリアの旅(2):路面電車の便利

都市は北部のミラノとトリノを見ただけだが,便利を実感したのが路面電車。街中いたるところに路線がひかれ,旧式箱型電車や最新式数両連結電車まで,さまざまな電車が走っている。バスも安くて便利だが,快適さやエコの点では,やはり路面電車が勝る。

日本では,路面電車は,長崎や高知などで頑張っているものの,ほとんどの都市で時代遅れの邪魔者扱いされ,早々に撤去されてしまった。特に惜しいのが京都。市電が残されておれば,京の魅力は今の比ではなかったはずだ。

 ●ミラノの路面電車

 ●トリノの路面電車

 ▲路面電車/電車軌道走行の連結バス

谷川昌幸(C)

Written by Tanigawa

2017/07/17 at 14:02

カテゴリー: 文化, 旅行

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